地が動く旬日残花散りにけり
しづ心なき目に見えぬ残花かな
今頃はどのあたりを走っているのだろう。
日本列島の桜前線である。
熊本地震からすでに一週間経過して、そのあいだ桜のことはすっかり頭の中から消えていた。
気がつけば、造幣局の「通り抜け」も、吉野の桜も終わっている。
残るは「残花」を楽しむことだが、これだってもうその時期は過ぎて、桜で言えば「余花」の季節を迎えようとする時候である。
甚大な被害をもたらした災害と「桜」とはあまりにも不似合いである。

めざせ5000句。1年365句として15年。。。
地が動く旬日残花散りにけり
しづ心なき目に見えぬ残花かな
今頃はどのあたりを走っているのだろう。
日本列島の桜前線である。
熊本地震からすでに一週間経過して、そのあいだ桜のことはすっかり頭の中から消えていた。
気がつけば、造幣局の「通り抜け」も、吉野の桜も終わっている。
残るは「残花」を楽しむことだが、これだってもうその時期は過ぎて、桜で言えば「余花」の季節を迎えようとする時候である。
甚大な被害をもたらした災害と「桜」とはあまりにも不似合いである。
老いぬれば美しき悪しきのおぼろかな
母がことあるごとに繰り返していた昔語り。
とくに覚えているのが、生後十日で命を落とした妹の話である。
大地震が襲ってきて家が倒壊し、座敷奥に寝かせていた赤子を連れ出すどころか、自分の身ひとつ守るのに精一杯だった様子を何度も聞かされた。
当時、医者にも見放されるほど衰弱していた私が、本来妹が飲むべき乳をふくませたら忽ち回復に向かったとも。
晩年になって、赤子を救えなかった悔恨の言葉は少なくなったようだ。
ただ、今も生きていて、こたびの熊本地震を聞いたらばきっとまた昔に戻って、地震の怖さを繰り返し語ったことだろう。
停電の闇に沈丁それと知る
はっと吾に返るときがある。
考え事にふけっていても、この香りだけは特別である。
どちらかと言えば風のない日に強く匂うのだが、漆黒の闇のなかでもそれが漂ってくる方角はすぐに知れる。
その日の気分によっては、インパクトが強すぎて敬遠したくなるときもあるが、総じて気付け薬のようなレフレッシュ効果があるようだ。
車上で夜を明かす人たちに安らぎあらんことを。
救援の手の及ばざる春の闇
まるで陸の孤島だ。
道路、鉄道が縦横に走って本来はアクセスに不自由しないところだが、それが断ち切られたときの脆さを見た。
圧倒的に足りない避難所、水・食料。
車上での避難生活にも限度があろう。
このたびの震災の復旧もまた想像をはるかにこえる時間が予想される。
東日本震災から五年。列島は地震の活動期に入ったと言われるが、この数年のうちにまた大きな地震が発生するのだろうか。
熊本出身のアナウンサーの、ときに胸をつまらせたようなアナウンスに打たれた夜だった。
青麦の畠裂く力徒に
十八の春闌くときの知らぬ間に
まだまだ止まぬ。
この惨状を句に詠むには、季題が辛すぎる。
春愁や活断層の恐るべき
新幹線はまだしも、高速道・自動車道、JRが寸断されている。
経済活動はおろか、救助活動の大きな妨げになっているのは痛ましい。
また、国宝、重文クラスの建造物が無惨な姿をさらしており、地震の破壊力の凄まじさが生々しく伝わってくる。
枕を高くして寝られない人が何万人といて、余震活動の休息の目処も見えないとあっては不安は如何ばかりかと。
列島の北春嵐南地震
「ない」と読む。
地震は恐ろしい。
何時、何処で起こるか誰も分からないからなお怖い。
一瞬にして巻き込まれると逃れられない恐怖がある。
それにしても、断層が動くメカニズムとは分かっているようで、実はよくわからないのだ。
断層がずれるから地震が起きるのは分かるが、なぜ断層がずれるのか。
そのあたりの説明があればじっくり聞かせてもらいたいものだが。