のどかな

留守居して宅配待てる暮遅し

今日は宅配便がくるというので午後からは外出できなかった。

ただ待つしか予定のない日というのも退屈なものだが、宅配便の配達時刻の正確さというのもたいしたものだと思う。

チューリップフェア

青海波文様めいてチューリップ園

馬見丘陵のチューリップフェアが賑わっているようだ。

冬に植えた44種類8万本もの球根が、先月末ころから咲きはじめて今満開をむかえている。何色にも染め分けられるように植え込まれて、ゆったりとした古墳丘陵の斜面がまるで幾何学模様の青海波のようである。

チューリップは5月頃のものというイメージがあったので、おもったより早いことに認識を新たにした。

黄から始まる

世の色のここ一点に黄水仙

鮮やかな黄色である。

春先の水仙と違って、3月頃に咲く黄水仙はやや大ぶりで、花全体が見事な黄色である。
もともと黄色が好きな性格もあるが、蝋梅といい連翹、万作。春は黄色から始まるのではないかとさえ思う。

望外の

山桜見慣れし景色を変へて見せ

あれ、こんなところに桜があったんだ。

近所の山をふだん見慣れているはずなのに、この時期になるとはっとするような存在感を見せてくれる木がある。よく見ると、あちらにも、こちらにも。
思わぬ季節の贈り物にちょっと得したような気分になれる。来年もまた驚かせてね。

白日

秘め事は見て見ぬふりのさくらかな

隠し事の一つや二つ。

白日の下にさらさなくてもいいものもある。
まして満開の桜なら黙って見逃してくれるだろう。

今日は宇陀ハイキングの予定だったが、残念だが体調悪く欠席。
気を取り直してまた作句に励もうとしよう。

春の夕景

桜蘂しきりに降りつ川落暉

この時期の夕日の光は柔らかく明るい。

入射角が浅いせいなのか、光が隅々にまで行き渡るような暖かみさえ感じる。
まして水面のきらめきは眩しいほどで、川端にあるものたちのシルエットを際立たせてさらに美しく見せる。
その眩しいきらめきをさらに揺らせるように桜蘂がはらはらと落ちてゆく。

春はたけなわを迎えようとしているのだ。

硬と軟

歌碑撫づるやうに芽柳揺れにけり

佐保川には万葉歌碑が多い。

川面の上をすっぽり覆うほどの大きな柳がおりしも芽吹いたばかりで、幹の根元にある坂上郎女の歌碑を抱くように揺れている。
歌碑の堅い感触と柔らかい柳の対照が絶妙なバランスを見せる瞬間だった。