見慣れた光景

園バスを春雨傘の降りてくる

隣の空き地前が幼稚園バスの停車ポイントとなっている。

朝は8時前、午後は3時頃、見送りやお迎えのお母さんが立ち話している。
ここを利用している園児は4、5人はいるみたいだ。
子供たちが着くとみんなお母さんの傘に包まれて帰って行く。

異なる時間

つばくらの集団下校かすめけり

登下校の見守り隊。

ボランティア活動として行っているかと思いきや、着ているジャケットは当町のシルバーバンクのものであった。
毎日の登下校を確実に安全に子供たちをエスコートするとなるとボランティアの善意だけに頼ることはできないということだろう。町から幾分かの費用が出てこうした見守り隊を支えているようである。
小学校の駐車場からマイクロバスが出てきて、児童をのせて出て行った。
駅前の学童保育預かり施設の送迎バスだった。
校門を出たら見守り隊に付き添われて帰宅するグループ、送迎バスで保育所に向かう子供たち。
放課後は地域の悪ガキどもといろんな遊びをして育った我々とはまったく異なる時間を過ごす今どきの子供を見るにつけ、この子たちから見える将来もまた我々とはずいぶん違う景色なんだろうかと思う。

予約成功

畦道のすずめのてつはう二個師団

やはり電話では無理だった。

何遍かけても「しばらくしてもう一度おかけください」の声が聞こえるだけ。
そうだろうことは予想していたので、スマホとパソコン両方動員して連打しながらどれかに当たることを祈りながら10数分。
ようやくウェブで予約ページにたどり着けたと思ったら今度はサーバーエラー、なんどかトライしてようやく開いたのがリンクミスによる関係ないサイト。
再読込するも、どうやらキャッシュページばかりでいっこうに更新されない。
同時にチャレンジしていたスマホで再読込リトライ繰り返ししたところやっと正しいサイトに行きついた。
贈られてきた予約券のナンバーとパスワードに生年月日を入れログイン成功。初日ではなかったが無事1回目の接種予約がとれた。この間約30分ほどか。
役所も初日からつまづき、予約サイトの説明ページすらない状況をみると、まさに泥縄式。今回の枠がどれほどあったかは知らないが、かなりの人が溢れたのではなかろうか。
近所を歩けばレンゲが花盛り。近寄ってみるとスズメノテッポウが密集して畝を覆っている。
春爛漫である。

身近に蔓延

グラフ見ぬ一ㇳ日もなくて春逝ける

今日も感染者5名。

当町のデータである。半径2キロもない小さな町で、人口1万超。
先週にも5人の日があったので、それだけで二桁の感染者数である。もしかしたら向こう両隣、あるいはすれ違うひと、前を通るバスの乗客にも隠れ感染者がいるかもしれない。それほど身近に恐怖を感じる数字である。
大阪では今月末には重症者が倍の500人に達するという試算もある。こうなるともう手がつけられない状況となって関西圏は大パニックとなろう。
感染症には検査と隔離。昔からそうと決まってる。これ以外に対策はない。
五輪やりたさ、利権に執心するあまり感染対策を先延ばししてきたつけを結局国民が負わされることになるのだ。
死ななくていい命がいくつも奪われて行く。やりきれない思いだ。

口をすぼめる

さかむけの爪に沁みるや夏蜜柑

ワクチン接種の案内が町から届いて驚いている。

ずっと先だと思っていたから意外だ。
予約が明後日から、接種は5月18日スタートだそうだが、肝心のワクチンが何時、どれだけ割り当てられるのかが全く見えないので、安心はできないが。
同年生まれの家人には届いてないので、学齢で昭和21年生まれ、75歳以上に先に案内がきたようだ。家人は5月に案内が来るという。
市町村によっては高齢者ホーム優先とするところもあるようだが、どうやら当町はシンプルに年齢が基準らしい。
今までは欧州から雀の涙ほどしかまわってこなかったが、アメリカの接種が山を越えたのでそのお余りがまわってきたという所だろうか。
いずれにしても、枠に入れば率先して接種するつもりだ。
最近の夏みかんは昔ほど酸っぱくないのかな。皮が固いのは変わらないが酸味が抑えられて口をすぼめなくても食べられる。名前は夏だが、出回るのが春だから春の季語だという。

ミクロの世界

休刊の朝のコーヒー風光る

郵便受けを開けるまで忘れていた。

今朝は休刊日だと。
朝食を終えすることもないので窓の外に目をやると、午前中は晴れだという空が底抜けに青い。
気分よくして外へ出ると、寒くもなく暑くもなく快適な朝である。
すっかり若葉を広げた楓が陽の光をあびてキラキラと輝いている。今日もまた銀色の蜂が姫踊り子の密をせっせと集めている。しゃがみ込んで動きをみているといつまでも飽きないが、足長蜂がやってきたせいか慌てて姿を消してしまった。こうしてミクロの世界では生きものたちが生存をかけて懸命に生きている姿に思いをはせることしばし。
目に見えない空気さえ今日は光って見える。風の春である。

季語だらけ

春昼や姫踊り子に銀の蜂

姫踊り子草に珍しい蜂が飛んでいる。

一つはやや赤みがかったやつで、もうひとつは全身が銀色の産毛で覆われたやつ。二つとも見たことがないものだが、とくに興味を引いたのは銀色の方だ。どうみても蜜蜂の仲間のようで、顔を近づけても襲ってくる気配はないし、こちらの気配にも動ぜずマイペースで姫踊り子草のあの小さな花に顔を突っ込んでいる。
「銀色 蜂」で検索してもそういう色をした蜂のことは何にも出てこない。
不思議な春昼の出来事の一コマであった。