赤鼻

手品師のごとティッシュつまむや水つ洟

寒いと言っては鼻を垂らし。

熱い汁を吸っては鼻をかむ。
はてには鼻先まで痛くなってきた。
ティッシュの殘りも少なくなってきた。
今宵はクリスマスイヴだそうな。鼻を赤くした馴鹿が着ぶくれてうずくまっている。

ざらめ雪

鳥の羽根浮かべてかろし初氷

一昨日薄い氷が張った。

今朝も同じく薄い氷だった。
指でちょいと圧せばくるくると回ってまことに頼りない。小鳥が止まればすぐに割れてしまうにちがいない。
昨夜から朝にかけて雪が降り、それがザラメのまま積もっている。こうなると風も冷たく簡単には解けそうもない。
日中もおなじようなものが風に吹かれて右に左にしては舞吹雪いているのである。
寒波で冷え切ったまま新しい年になだれ込んでいくのだろうか。

降るか積もるか

てらぬ日の冬至南瓜の黄いろかな

重い雲が大半を占める日だった。

テレビのニュースであらためて知ったのだが今日は一陽来復、冬至である。
黄色は古来から魔除けとされてきて、柚子や南瓜が好んで食されたり、風呂に浮かべたりする。
今年の黄色は畑で穫れた南瓜の最後の殘り。賞味期限が案外早いようで味はもうひとつといったところ。
今年も庭の柚子は不調で、風呂に入れるほどの数もない。
ただ、さいわい気温はここ数日ないほどの暖かさ。午前中ですでに10度に上がっているので芯から冷える夜でもないようだ。
盆地に雪が降るのか降らないのか。積もるのか積もらないのか。
降らない、積もらないに賭けたいが、さてどうなるか。

年納め

くさめしてよその小母さんおどろかし

省エネということもあるのだろう。

待合室が少し寒かったようだ。図らずも突然のくしゃみで、横に並んでいたよくおしゃべりしていた小母さんたちがビックリしたという顔をしてこちらを見る。コロナとみられたら申し訳ないなと思ったけど、単に寒かっただけです。もちろんちゃんとマスクをしていました。
さいわい笑いでその場はおさまりました。
来週のデンタルクリニック受診を残して今年の通院は終わり。家人のリマインダー役としての務めもそれで年納めになる。
おせちなど年内にやることはまだまだ多いが。

命の明滅

凍蝶の虫の息なるもののかげ

びっくりして少し反応したようだった。

大根の葉をめくったとき、息も絶え絶えの白い蝶がわずかにはばたいた。が、それもほんの一瞬のことでその後は死んだように横たわっている。凍蝶とは言えいま命が尽きようとしている蝶なのだ。
抜くつもりの大根だったが、一生を全うしようとしているものへの敬意から元のように葉を戻した。
わずかな、ほんのせまい土地、世界にもこうして無数の命がうまれ消えようとしているのだ。

お伺い

蜜柑きてそばきて豆来十二月

ごく親しい人たちとの年に二度のご挨拶。

今年も句に記載しきれないほど多くの贈答をいただいた。果物にはじまり、穀物、水産物まではばひろい。
ありがたいことだ。
おかげで年越えて毎日果物がデザートにのぼりそうだ。
そばなどは世界の50%がロシア、ウクライナ産だそうで、我が国の自給率は20%たらず。殘りの大半が中国からの輸入で、世界的な価格高騰を受けて材料代もばかにならないだろうに。
すでに年末を見越して食材などはいちだんと値上がりしているという。
毎日どれも美味しくいただいているが、それも健康であればこそ。
年賀状こそ出さずとも、年に二回のお礼をかねた電話が暑中見舞い、お歳暮ともどもお互いの健康を確かめ合う貴重な機会である。

愛用品

片手袋懸けて飛出坊やかな

散歩途中など持ち主不在の落とし物を見かける。

あるときは落とし主が発見しやすいように目立つところに懸けてあることがあるが、地面よりは目の高さに少しでも近づけて置くのが普通である。電柱の支柱とか歩道に面したお宅の塀とか、そのときどきでいろいろな場所が想定されるが、一番多そうなのが歩道の柵であろうか。
いずれにしても小さな子供さんのものなど可愛いものが多く、さぞ愛用品であろうと持ち主が見つけてくれればと念じるのである。