昨日に続いて今年後半を振り返ってみる。
夕刊の朝来る里のほととぎす
父の日の男料理の豪気かな
首を振る参千円の扇風機
手に触るるものを枕の昼寝かな
初しょうろさまを流して海昏るる
河原石積める垣内の鳳仙花
新涼のジャムの瓶開く音高く
陽石に蓑虫這うてゐたりけり
白無垢の芙蓉の底のうすみどり
右肩の少し怒れる案山子かな
こもりくもいよいよ奥の曼珠沙華
間引菜のひげ根もろとも椀に浮く
降り敷いてなほ隙間なく銀杏散る
急ぎとて一行の訃の入む身かな
ノルディックウオークの杖に秋惜しむ
防人の踏みし峠の鷹柱
木守柿終のひとつになれりけり
二三両こぼし萬兩紅つくす
いくばくの気流に鳶の小春かな
大綿の日陰に溶けてしまひけり
前半に比べると同じ二十句でも水増し気味である。
これを好きな順に並べると、
首を振る参千円の扇風機
夕刊の朝来る里のほととぎす
こもりくもいよいよ奥の曼珠沙華
右肩の少し怒れる案山子かな
ノルディックウオークの杖に秋惜しむ
これらはどれも即吟であった。得てしてあれこれこねくり回すときはたいした句じゃないときが多い。
今年も前高後低、好不調の波が多い年であった。来年こそ年間通じて平常心をたもち、安定した作句につとめなければ。