食の力

秋暑し猫の食欲重げなり

老い猫と若い猫2匹がいるが、さすがに夏が長いせいか夏負けしているようである。

だが、どういうわけか若い方が食欲がなくなってきている。子供の頃から室内で飼われてきたのが原因かと思わざるをえない。いっぽうの13歳になる老猫は半分野良でもあったせいか食欲は旺盛である。生き残る力というのはまずは食からということであろうか。

そういえば、老母はこの2,3日すこぶる食欲は旺盛で三食とも完食している。

季節を探す

上棟や槌音響く秋の空

目にはさやかに見えねども、探せば秋はある。

古来から季節というのは自分の五感を駆使して感じるものらしい。

昨日、今日と朝早くから乾いた槌音が響いている。どこからの音かと周りを見渡したら、数区画はなれた土地でどうやら今日は上棟らしい。一気に屋根の部分まで組み上がってしまった。
ひと頃の暑さに比べれば幾分和らいで、今日の風などは秋のものである。棟梁たちにとってもようやく作業しやすい季節になってほっとしていることだろう。

変調か

蜩の声聞かぬまま夕暮れぬ

虫の声に負けたのだろうか、当地では蜩の声を聞かぬ。

法師蝉も同様。裏山が生駒山系だし、今頃は元気に鳴いてもおかしくないと思うのだが。
だんだん日の落ちる時間も早くなって、ゆうなずむ頃合いに似合う蜩だけど変調か、それとも日中暑すぎて時期が遅れているのだろうか。

また雷雨

耳遠き人に届かぬ秋の雷

夕立なんだろうけど、先日のに比べると今日の雷は少しおとなしかった。

雨が止んでも涼しくはならない。かえって生暖かい空気に替わったようだ。
ということは冷たい空気が北へ追い払われて今夜はまた熱帯夜か。

耳が遠い、というより全く聞こえてない人は、外の異変にも気づかない。

プラチナタイム

こほろぎの宿とも思ふ湯浴みかな

静かに浴槽に身を漬していると、まるで極上の露天風呂に入っているような気分である。

それも「こほろぎの宿」として名を知られる秘湯のような。
日が落ちて(そういえば日暮れが随分早まってきたような)その日のやるべき事も終えて、汗を洗い流す時間というのはプラチナタイムだと思われる。

蝉の神話

尽き果てて子らの虜や秋の蝉

最近の研究では蝉の命は1週間よりもっと長くて3週間ほどあるそうである。

また。土の中にいる年数も7年とか言われていたが実際は1年で羽化する例も報告されているらしい。
となると、儚いものの例えに上げられていた「蝉」というものの実体が実は間違っていたと言うことになる。
だがやはりここは、「滅びの美学」に弱い日本人にとっては蝉は「儚い」ものであり続けてほしいものなのである。

「空蝉」という言葉がもつ響きにいささかも曇りがあってはならないのである。

初秋あかね

秋あかね御在所岳を発ったやら

今日仙台で初秋茜が見られたという。

三重に入って間もなく四日市あたりを走らせているとカーラヂオから秋便りが流れた。

そういえば、中部地方の赤とんぼの発進地は御在所岳だそうである。御在所SAで小休止しながらそんなことを思い出した。
夏に高い山から降り始めて秋口には里に姿を現すという。
奈良では多武峰あたりも赤とんぼの発進地であるというような話を聞いたような、聞かないような、記憶は定かでないが。