柿をもぐことのつひでに青きまで
意外に甘かった。
ぼつぼつと落ちはじめたし、数えるほどの数しかないので早めにもぐことにした。
ただ一個はもう鳥に食べられていたので、さらにもう一個鳥たちのために残して。いわゆる木守柿になるのだ。
何も手を加えない富有柿だから種はしっかりとある。それを放り出しながら柿を食うのである。
めざせ5000句。1年365句として15年。。。
柿をもぐことのつひでに青きまで
意外に甘かった。
ぼつぼつと落ちはじめたし、数えるほどの数しかないので早めにもぐことにした。
ただ一個はもう鳥に食べられていたので、さらにもう一個鳥たちのために残して。いわゆる木守柿になるのだ。
何も手を加えない富有柿だから種はしっかりとある。それを放り出しながら柿を食うのである。
取り分けて訛聞かせてきりたんぽ
黄金の田が一面に広がる頃決まって思い出す。
秋田路へは小町出身地と言われる雄勝町に入ったときのことだ。
おりしも盆地はどこまでも黄金色で、国道沿いには深紅の林檎が薄く粉を掃いたように鈴生りになっている。まさしく豊の秋であるが、その夜は角館の宿に一泊。
比内鶏、そして天然の舞茸を使った本場の豪勢なきりたんぽに舌鼓を打った。
小皿に取り分けてくれる仲居さんは、鍋の蘊蓄やら秋田音頭にでてくる秋田名物やらの話を訛たっぷりに面白おかしく聞かせて実に愉しい一夜。
仕事で出かけたのでのんびりという風にはいかなかったが、その夜のことは一生忘れられない旅の記憶につながっている。
掲句は、兼題「きりたんぽ」で今日の句会に出句したものの一部。
曼珠沙華橋なき川を灯したる
大和川は灯がともるように彼岸花が散っている。
川沿いの堤防を遡ればどこまでもどこまでも燃えるような赤。
川をはさむ田園地帯の黄金色と対比して、それは鮮やかである。
気になることは、稔り田が今までみたことないような、ところどころ焼けるというのだろうか、枯れたようなところが目立つ。
長雨、それに続く高温の日々が影響しているのではないかと心配になるほどだ。
湯浴して復た見る月の中天に
湯上がりを待ちて月見のうち揃ひ
今年の月は皓々として澄んでいる。
天気が心配されたが、ゆったりとした時間の中で何度も仰ぎ見ることができた。
VHFアンテナ高く鵙猛る
鵙の季節になったようである。
今日などはもう使われなくなったVHF、アナログ放送用アンテナに止まってテリトリーを高々と宣言しているのを目撃。
田んぼに接した住宅街なので、住宅地の高いところと言えばテレビアンテナが格好の物見場所なのである。
デジタル技術が進んで商品がどんどん陳腐化する一方で、秋になれば毎年自分のテリトリーで雄叫びをあげる鵙の習性は変わらないのである。
信貴山の日の斑に浮かぶ竹の春
秋らしい日が続く。
今年は秋を素通りして冬になるのではないかと危惧していたので意外なほどである。
折しも流れる雲の間から日が差して、麓の竹林がぽっかり浮かんだように、まるでスポットライトが当たったように明るい。
やはり外出するといろいろな景色、光景が広がって、心の栄養にもなるようだ。
生り年といふに呆けたる柿一本
急に葉が落ちだした。
見れば梅の葉もそうだ。
急にどうしたのだろうか。
今日は駐車場のしつこい雑草を始末したのだが、夏はあれほど頑固だったのに今はおとなしく鎌を受け入れてくれる。まだ九月だというのにまるで晩秋のような気さえしてくるのだ。
それにしても、今年は生り年のはずなのに庭の柿がまるで実をつけなかった。もっともろくな手入れをしてないのだから不思議ではないのだが、それにしても葉の落ちようといい、この夏の暑さにすっかりやられてしまったのだろうか。
先だって蒔いた大根はちゃんと芽をだしたのだが、人参は失敗したようでもう一度チャレンジした。今度はどうだろうか。