ブーム

摘菜のいのちうかべて御御御付

雨が止んだので大根の間引きを。

双葉が半分以上食われたからやっぱり虫除け対策のネットを張って、ようやく立ち直ってきたが思った以上食われているみたいで期待の数の半分くらいしか残ってない。
それでも、ひとつまみ程度は摘まむことができて夕餉の味噌汁へ。
顔を近づけるとほのかに大根の香りがして、ささやかな収穫の喜びにひたる。
雨の直前に蒔いた春菊も小さな芽を出したようで、これも今後が楽しみ。
コロナ禍でちょっとしたグリーンブームだそうだが、まさに我が家もブームに乗っているというわけだ。

配布回収

国勢調査回収遅々と秋の暮

回収率が悪くて期間延長されたとか。

国勢調査は回答義務が課される基幹的統計調査で、各種政策などの基礎データとして活用されることになっている。
コロナの影響もあって、オンラインでも回答できるようになったが、それでも回答率は70%に満たないという。
国政選挙の投票だって五割もいけばいいほうだから、国勢調査がいくぶん上回っているとはいえ、国勢調査に対する国民の関心度の低下はやはり気になる。これも国民のお上に対する関心度合いが薄れてしまっているということだろうか。
民生委員のかたなどがいちいち調査用紙を配ったり、回収したりしているが、いつ訪問しても留守とか、いろいろな家庭があって苦労されているにちがいない。
オンラインで回答すれば五分とかからないのでたいした手間じゃないのだが、個人情報漏洩を気にする方も増えていることだし、ますますこういった調査は難しくなるにちがいない。

無農薬

二昼夜の雨の恵みの貝割菜

間引かねばと思っているうちに雨が降り続く。

完全無農薬、無肥料ときめて一切の人工の手立てをせぬと決めたから虫除けのネットしてないので、おんぶバッタのかっこうの餌となったようである。
かろうじて残った芽がすこやかに伸びてくれるのを祈るだけである。かたや、人参は一回目は芽が出ず、二回目にしてようやく芽が出たが、それもいつの間にか消えている。食害であろうか。
それにしてもよく降る。
間引きは日曜日まで待たねばならない。

セーターを着込む

コンバイン忙中閑なる雨寒し

盆地は稲刈りシーズンに入った。

今週末を穫り入れに当てていた農家は多いだろうが、この秋雨前線そして台風の雨ときて一週間近く日延べを迫られそうである。
それにしてもこの雨は寒い。
聞けば今日は11月の気温だそうで、長袖シャツでは足りずセーターまで着込んでもちっともおかしくない。
エルニーニョだかニーニャだかしらないが、太平洋西側の水温が高く、そういう年は多雪だと聞く。夏なら台風の雨だが冬はそれが雪になって積雪が多いということだろう。
気温の乱高下やら気象の大暴れやら、自分たちが犯した自然への冒涜にいまその報いを受けようとしているのだ。
科学を信用しないどころか無視する指導者が驚くほどいて、暗澹たる気分になる。

八年

売りものにくらべたくまし柿の種

まったくの自家製でろくな手入れもしてない。

そんな柿だから、たいして大きくはならないが身のほどをはるかに越えるくらい立派な種が出てきた。
お菓子の柿の種だってこれほど厚いのはないだろうと思えるほど大きい。
見るからに養分を含んで、これほど立派な種なら実生で芽がでるのは間違いないだろうが、柿は八年とか。生きてる保証もないし、鉢に育てるのも大変そうで、家人との話だけで終わった。

晩秋

うそ寒や稿の三行削られて

2枚程度書けと言うから2枚プラス3行書いたものを出した。

なんとかページに納めてくれるだろうという甘い期待は裏切られて、編集のほうでカットするという。
どこを削るか、もしかしてここは譲れないという部分だったらいやだなあと編集者任せと言うのもなかなか残酷なものだと思う。
もとは字数以内に納めなかった自分が悪いのだが。
仲秋の名月も終わると、もう晩秋である。
朝晩ずいぶん涼しいというより、むしろ薄ら寒い日が続くようになった。

劇的な変化

朝露の自領律儀に巡る猫

急に秋がやってきて一番驚いたのが朝の露である。

あれほど暑さにうだっていたのが、一夜で庭に露がびっしり降りているのを見ると季節の劇的な変化に驚かされるのである。
飼い猫のみぃーちゃんは、露を避けるでもなく草を踏んでテリトリーの検分にいとまがない。
しかし、あれほど密に敷いていた露も日が昇るといつの間にか消えていて、古人はかなさの代名詞として歌に詠み込んできたのである。俳句もむろん露は代表的な季題として数々の名句が生まれている。

露の世は露の世ながらさりながら 一茶

は彼の境遇ともあわせ広く知られた句であるが、俳句としての完成形からいえば、

金剛の露ひとつぶや石の上 茅舎

は一級の写生句として、物覚えの悪い自分でもすぐに口をついて出てくるほどである。