大輪の潔く落つ椿かな
落ちてなほ気品を放つ椿かな
法華寺の庭園・ 華楽園は今椿の盛り。
紅がぐっと凝縮されたような「紅詫助」の蕾。一方で、大輪の花が落ちても精気を失わず、その落花狼藉ぶりにもどこか気品があるような佇まい。椿は枝にあるものよりも、地に落ちたもののほうに目が行ってしまうのが不思議だ。
メジロが渡ってきて高い木の天辺で例の「キリキリキリッ」という声が聞こえてきたり、白梅の蜜を吸っている姿などを見ると、もうすっかり春だなあと思う。
めざせ5000句。1年365句として15年。。。
大輪の潔く落つ椿かな
落ちてなほ気品を放つ椿かな
法華寺の庭園・ 華楽園は今椿の盛り。
紅がぐっと凝縮されたような「紅詫助」の蕾。一方で、大輪の花が落ちても精気を失わず、その落花狼藉ぶりにもどこか気品があるような佇まい。椿は枝にあるものよりも、地に落ちたもののほうに目が行ってしまうのが不思議だ。
メジロが渡ってきて高い木の天辺で例の「キリキリキリッ」という声が聞こえてきたり、白梅の蜜を吸っている姿などを見ると、もうすっかり春だなあと思う。
雛壇の媼の白髪豊かなる
今月の吟行地は光明皇后創建の法華寺。
総国分尼寺として建てられ、以来由緒ある門跡尼寺として代々今日に至るのであるが、ちょうどこの時期歴代の門跡が拝領した雛や雛調度の数々が公開されている。ほかにも皇后が千人の垢を流したと伝わる「唐風呂」や、「十一面観音」さん、滝口入道との悲恋のあげく当寺にこもって経をあげたとされる「横笛堂」などで有名なお寺。庭園も椿が咲いているということで句材は限りなくあるのであるが。。。
ダム渡る色なき風の初音かな
ものの芽の集まればみな白く見ゆ
梅郷・月ヶ瀬ダム湖を渡る橋の上のこと。
今年初めての声を聞いた。梅の花など随分先のことだと教えられたあとだったので、まさかのことであった。
橋のたもとにある観光案内所を出たあと、あてもないまま橋の上まで行こうとするとどこからか分からないがハッキリと鶯とわかる声が聞こえた。開花していれば文字通り「梅に鶯」だが、蕾が動き始めようかというものの枝すべてが白いダム光景にはちと寒々しい初音であった。
補)今日はまほろば句会吟行の日につき予約投稿です。
追)今日のNHK「昼ぶら」は月ヶ瀬からだったようですね。
君子蘭花芽ついたといふ葉書
君子蘭独り占めする狭庭かな
引っ越しの時に君子蘭の子株を差し上げた。
君子蘭はみるみる株が増えるので株分けが容易だ。逆に株分けしないと大きく成長してしまって始末に困るので、毎年のように株を更新しては鉢が増えてしまうことになる。結果、狭い庭はほしいままにあの段広の葉がのさばってしまうのだ。
当地に越してきたとき、その子株のいくつかをご近所のお世話になったかたに差し上げてきたのだが、その鉢にも花芽がついたという便りが届いた。
親株の当家のものはといえば、、、、ちょっと発芽には遠いかな。
やうやうに開きそめしと大梅郷
訪ぬれど探るばかりの大梅郷
三重や京都との府県境の梅郷・月ヶ瀬に行ってきた。
「一目万本」といわれる展望台もあるほどで、相当な数にのぼる梅の里は名張川をせき止めたダム湖の急峻な斜面に展開する。まずは全体の地理を頭に入れようと「月ヶ瀬観光会館」といわれる案内所に立ち寄ったところ、スタッフの方が申し訳なさそうな顔をされて「まだ三本しか咲いてないんです」と、その木のある場所を詳しく教えてくれようとする。平年に比べ2週間ほど遅れているそうで、今年はさきの大雪で枝もだいぶ痛めつけられたとか。
この分では今月下旬が見頃になりそうで、続いてすぐそのあとにダムの周囲に植えられた桜が見事な景色を見せてくれそうである。
雑踏の駅で始まる弥生かな
停車場のお茶に始まる弥生かな
暖かい雨のなか帰ってきた。
久しぶりの都会だった。ただ、ターミナル駅から一歩も出ることはなく、駅ビルの喫茶店で打ち合わせを済ませると外は雨。今日は重いパソコンをかついでいたので、最寄り駅までは原付バイクで往復したのだが、念のため用意しておいたレインウェアが役に立った。
このウェアは15年くらい前に山歩きのためにと随分高いものを買ったのだが、実際に使ったのは仲間と茸取りに出かけた一回だけだったことも思い出した。経年のわりに傷みもなく、昨日今日買ったものだと言っても誰でも信じてくれるくらい古くささは微塵も感じない。さすが、アウトドアの名門メーカーだけあるなと思った。
雨止んで黒さ増したる焼野かな
畦や草を焼いたりして春の訪れを待つ。
害虫を退治し、灰が有効な肥料ともなって実りをさらに確実にするための野良の仕事である。このあと、田や畑の土を起こしいよいよ今年の農の本格的な始まりとなる。
野焼きの畦が雨に濡れて、その黒さがましていた。濡れてはいても、この時期特有の、どこか熱を帯びたような春の色のようにも見えるのだが。