春寒の風に端山の休まらず
竹林のばきばき軋み春寒し
孟宗竹の林からばきばきと竹の軋む音がする。
おりからの北風に大きな竹があおられて太い幹どおしが擦れ合う音のようだ。中空な竹独特の乾いた音が竹林のなかで響き合うように鳴っている。
今日はしっかり冬構えして出かけてきた散歩だが、冷たい風に耳がちぎれそうである。
めざせ5000句。1年365句として15年。。。
春寒の風に端山の休まらず
竹林のばきばき軋み春寒し
孟宗竹の林からばきばきと竹の軋む音がする。
おりからの北風に大きな竹があおられて太い幹どおしが擦れ合う音のようだ。中空な竹独特の乾いた音が竹林のなかで響き合うように鳴っている。
今日はしっかり冬構えして出かけてきた散歩だが、冷たい風に耳がちぎれそうである。
一日で失せし三笠の春の雪
寒明の雪の一日かぎりかな
若草山が一日でもとの末黒に戻った。
昨日のニュースでは若草山の珍しい雪景色を楽しんだが、今日市内に行ってみると雪は跡形もなく消えて、山は白から黒への見事な変身である。
図書館に難逃るる日冴返る
朝明けてみると夕べからの雪は霙にかわっていた。
車の屋根に積もっている雪もどんどん解けてゆき、昼頃にはなくなってしまった。
ただ、冷たい雨が降り続き散歩に出かけてみようかという気分にはとてもなれず、昼飯を食べてから町の図書館に向かった。ここなら暖房もよく効いて心地いい時間を過ごせるだろうという算段だ。
閲覧室は某国立大過去問題集を広げている受験生もいて緊張感も漂っている。
今日は図書館の本ではなく、家から持参してきた本で時間をつぶす。
3時間ほどたって図書館をきりあげ、一冊借りてから家路につくことにした。
恋猫に耳そばだたせ家の猫
そろそろ猫の発情期。
毎度お騒がせの季節だ。
ただ,最近は市街地の野良猫も嫌われてか数を減らしているようで、昔ほどはあの切ない声を聞くことは少なくなった。飼い猫はおろか野良猫も地域団体などがどんどん避妊・去勢もしているので、昔からいる猫たちはしまいにはいなくなってしまうのではないかとさえ思えてしまう。
当地では野良猫を可愛がる農家などもあって今でも彼らの健在ぶりを発揮しているが、その雄猫の狂おしい声を聞いて、床暖房にだらしなく昼寝していた家猫どもはさっそく反応し耳を立てるのだった。
寒明や上枝ゆるまぬ標準木
かんあけやほつえゆるまぬひょうじゅんぼく
奈良地方気象台というのは聖武天皇さんの御陵の隣にある。
一条通から緩い坂を登っていった小高い丘の上にあるので見晴らしもよく、盆地のどの山までが確認できるかでその日の見通し度合いを測っていたりもするらしい。
最初、東京の桜の標準木というのは靖国神社にあるのは知っていたので、ここ奈良でも気象台と言うからにはどこかに観測用の標準木があるにちがいないと楽しみにしていたら、なんと門から建物へ向かう急坂のサイドに植えてある樹木がすべて標準木、副標準木だという。しかも標準木の種類というのは桜(染井吉野)だけかと思っていたら,他にもイロハモミジ、ヤマツツジなどなどいろいろあって新鮮な発見だった。
昨日の掲句のコメントに書いた百葉箱の他にも、いろいろ認識をあらたにする話がいっぱい聞けて興味がつきない見学であった。果たしてこのようなハイテク機器を駆使するようなところで句材などがあるのだろうかと不安に思っていたが、先輩諸兄姉はさすがに上手に拾い集めておられて己の未熟さをまたまた自覚するのであった。
立春の風向計の目まぐりし
寒明や光乱るる風向計
第一火曜日はまほろば句会の日。
今回は奈良地方気象台への吟行だった。
この2月というのは、春とはいえ春を実感するようなものが少ない上、季語も少なくてそのこと自体が季材に乏しいことを示している。まして今日は昼頃に冷たい雨または雪だという予報だったので、果たして短い時間内に規定の作句ができるかどうか不安でしかないスタートだった。
どうにかこうにか義務は果たしたものの、やはり出来はもうひとつ。
考えてみればこういう日は当然ある、というよりほとんどがそうなわけで、さっさと頭を切り換えて句会後の茶話会を楽しむことにした。
茶話会が終わったら夕方5時。外はまだ十分明るい。日脚は相当伸びているのだとあらためて思うのだった。
保護したる子猫のあごの強さかな
全身で母を恋ひをる子猫かな
野良のみぃちゃん一家は親子の絆が特別に強い。
半年以上にわたって毎日餌を与えていてもみぃちゃんの警戒心が強く、とても捕らえられないので避妊手術ができず、とうとうこの3月と思われる時期に4匹の子猫を産んだらしい。
らしいというのは、私たち家族の前に子猫の姿を見せたのが5月に入ってからだったのだ。その後保護して手なづける傍ら里親捜しする予定でいたが、あまりにも親子の絆が強く親子を切り離して子猫だけを保護するのに手間取ってしまった。そうこうしているうちに1週間ほど前に雄のキジ虎の姿が見えなくなった。みぃちゃんは二日ほどはいなくなった子を探しに出かけていたが、とうとう諦めたらしく、その後は残った3匹に全愛情を注いでいる。
これ以上子猫の犠牲を増やさないためにもまずは子猫保護をと、罠をしかけてようやく3匹を確保することに成功した。親の気質を受け継いでか子猫たちも大変警戒心が強い。しかし時間をかけて馴らしてゆくほかあるまい。でなければ、里子に出すことさえむずかしいのだから。
残る問題は親のみぃちゃんだ。家の外からときおり狂ったようにして子供を呼ぶので、近所迷惑このうえない。今度はなんとか親猫を保護してせめて授乳だけでも室内でできないか、その方策を思案中だ。
さて、保護した子供たちは生後2ヶ月をすぎ歯もしっかり生えてきたようで子猫用のフードを与えているが、一時的にケージに移そうとしたらものすごい力で暴れだし手ひどく指をかまれてしまった。