飛鳥川春景

雪洞に先導されたる春コート

開花もまもなく。

こういう絵を見ると、夜桜のそぞろ歩きを思いだしてしまう。
4月初旬というのはいわゆる花冷えのときにあたり、昼間と夜の寒暖差が大きい。
中旬頃まではスプリングコートが手放せなくて、お気に入りのを袖がすり切れそうになるまで使っていたものだ。

飛鳥川では夜桜の準備が始まっていた。ただ、雪洞が冷たく強い風にあおられて今にもちぎれて飛ばされそう。
写真のあたりは中流域だが、ちょうどこの下にカワセミのカップルがいるのだ。恋のさや当て、鳴き交わしはしているがまだカップルとは確定してない様子。あと1週間くらい必要かな。

今年もまた

労いの声かけまばら初燕

古墳群で知られる県立馬見丘陵公園へ行った。

4世紀から5世紀にかけての古墳が多く、地理的な位置から葛城地域の豪族の墓ではないかと思われる。
大変広大なエリアなので、一日で全てを巡ることは難しいほどだ。
今日は中央部だけを散策したにすぎないが、多くの野鳥も観察でき、おまけに初燕までも目撃することができた。
ただ風も強く時折雨がどこからか飛んでくるような天気で、人影もまばら。
長旅への労いの声をかける人も少なかったが、元気に池を飛び回っていた。
写真では点のようにしか写ってないけど。

明石の風物詩

打ち返すいかなご舟の漁期かな

関東で「こおなご」と呼ばれるが、関西では「いかなご」らしい。

明石辺りの漁が盛んで、鮮度が重要なので水揚げから競りや加工の時間勝負でもある。
漁師は水揚げしたかと思うと再度出漁、これを一日に数回繰り返す。
また、日に日に稚魚が成長してしまうので漁期も短くなる。
そんな慌ただしく活力のある光景が関西の春の風物詩となっている。

艶めかしい夜

窓はなち宵夜の底や沈丁花

風のない夜、そこはかとなく沈丁花の香りが漂ってくる。

そう、沈丁花には風が禁物なのだ。
夜の底から立ちのぼってくるような香りが命。
それを風が飛ばしてしまっては春の宵の艶めかしさを味わうことができない。

東京にいるとき、10年以上も咲いていた沈丁花を剪定の失敗かなにかで枯らしたことがある。
また、あるていど育ってしまうと移植の大変難しい花木でもある。
一見強そうで実は繊細な木、それが沈丁花である。

萌え

茶畠と植木の里に麦青む

昨日はお彼岸の墓参り。

前にも書いた石薬師の霊園に参るため鈴鹿インターを降りると、辺り一帯は茶畠あるいは植木の苗を育てる畑が多い。
そんな中にも10センチほどに育った麦の苗がびっしりと青々としている畑もある。
新しい用法は知らないが、いわゆる「萌え」の季節到来である。

芽吹き

あわあわと芽吹き柳の揺れるかな

河川敷に大きな川柳がどの木よりも早く芽吹いた。
生まれたばかりの緑があわあわしているので、ちょっとした風でもあると木全体が応えるように優美な動きを見せる。

春分の日

明日はまず墓前の花買ふ彼岸かな

今までは遠いという理由で彼岸や命日でもお墓から遠ざかっていた。

今では霊園まで車で1時間ちょっとなので、明日朝花屋が開いたら真っ先に花を買ってお参りすることにしよう。