そこはかと

時差式の信号長き余寒かな

まさに今このときが三寒四温というのだろう。

明日から二三日は暖かくなっても、その後にまた寒さが戻ってくる。
トレンドでは底を切り上げながら右肩上がりに気温が上がってゆくにしても、行きつ戻りつのサイクルが今年ほどはっきりしている年は珍しいかもしれない。
春になってもそこはかとなく残る寒さを余寒というが、気をつけてみればあちこちに見られるのかもしれない。
たとえば、飛鳥寺へ通じる一方通行路。時差式の信号で止まれは4分、ゴーは30秒。一方通行区間が長いためだ。循環バスが通る道だからこその対処だが、待っている時間がほんとうに長く感じられて寒さがよけい身に沁みてくるのだ。

小雪ちらつく

種物屋この後家にして商売人

雲間から太陽が顔を出したり、かと思えば小雪がちらついたり。

忙しい天気である。
手許の気温計では7度。
冴返るというほどの寒さではないが、夕方になって暖房も入れないでいると猫たちが催促して騒ぎ出す。
人間たちは外出したりして体が温まっているので必要は感じなかったが、彼らをおとなしくさせるには止むを得ない。ようやく夕方5時になって床暖房オンとなる。
今日は猫のトイレ砂やシートを買いに出たのだが、ひと頃より五割くらい値上げしているのには驚いた。消耗品だからとぞんざいに扱ってきただけに、これからは一粒一粒、一枚一枚だいじに使わねばと思う。
この寒さは明日まで。もうしばらくの辛抱かもしれない。

モード

料峭やファスナー噛んで業煮やす

寒い日が戻ってきた。

体を動かしていても温まらない。
ポケットのティッシュペーパーを探るが、悴んだ手はうまくつまむことができない。
あす朝はまた零下に戻り、昼間も五度に届くかどうかだという。
体はすでに寒のピークを脱したモードになっているので、これは容易なことではない。

骨休み

傘杖に立つバス停の春の雨

今日は朝刊のない月曜だった。

うっかり郵便箱をのぞきに出て雨だと知る。
ただ、ぱらぱらと降りかかるという風情の雨で、先日までの冷たさは感じなかった。
駅へ急ぐ人も嵩をさしていない人もいる。
たいして濡れるほどでもなく、冷たくもない、いわゆる春の雨である。
降ったり止んだり、結局夕方まで晴れ上がる気配のまったくない一日であったが、きのう天気につられて体を酷使したのでいい骨休みとなったようである。

感慨

ホームセンターのはしご楽しく暖かく

あるものが必要になってホームセンター巡りをした。

朝から外出が苦にならないほど暖かさにつられて、目についた珍しい種ジャガイモも入手。
畑ではいつもより一枚、さらに一枚脱いでは汗をぬぐう。
この暖かさも今日まで。明日からはまた寒の戻りがしばらくあるという。それが明ければ螺旋的に気温が上がる日和となるに違いない。
今日は父の命日。父の年齢を十も超えるほどながらえたことを何とも妙な感慨にふけっている。

梅爛漫

梅白し夜の帳の奥になほ

寒さで進撃が停滞していた梅が再び前進を始めた。

最初に咲いたグループはさすがに咲き疲れが目立ってきてようだが散るには至っていない。
今日に続いて明日も三月の陽気だそうで、残る蕾も一気に開くかもしれない。
梅爛漫の庭である。

一夜明ければ

夜となりて芽立ちうながす雨の音

一日中雨が続いている。

いったん止んでいたのに夜になってまた降ってきてすぐに止みそうにない。
闇夜に耳を澄ませていると、この雨が木の芽の動きを促しているような気がしてくる。
きっとこれは春を呼ぶ雨に違いないと思えてくるのである。
一夜明ければ、今日とは異なる景色、色を感じるのではなかろうか。
そんなことが期待できる雨である。