立夏、風が気持ちいい

鯉のぼり真鯉に遅れ緋鯉跳ね
朝跳ねて夕にそよげる鯉のぼり

ご近所の鯉のぼりが大変元気だ。

午前中は風が強かったので、吹き流しも真鯉も緋鯉も大暴れで、竿が折れやしないかとはらはらみていたが、夕方になって風がやんだようでまったりとした動きだ。

今日は立夏。
風はさわやかだが、日差しはとても強い。

ときの熟成を待つ

手に取りてなんじゃもんじゃの香に咽ぶ
園薄暑見るべきほどのものは見し

なんじゃもんじゃ(ひとつばたご)

ホームグラウンドの馬見丘陵公園へ吟行。

すっかり初夏の装いで、行くところ句材の山で、ひとところに落ち着いて詠むゆとりもないくらい。
締め切り時間ぎりぎりに何とか五句投句。
互選にはずいぶん拾っていただいたとは言え、満足度としては低いのが困ったもの。
自分のうちにおさめて時間をかけて熟成できればいいが。

麦茶がうまい

背嚢の飯を気にする薄暑かな

今日はとうとう気温30度を超えました。

無理すると熱中症になりかねないので、外の作業は10時が限界です。
もっと暑くなれば8時まで。
若い頃は真夏でも2ラウンドのゴルフをこなしたものですが、今じゃとてもとても。

冷やした麦茶がおいしい季節です。

胡乱な記憶

桐咲いて今ひとたびの花明り

朝カーテンを開けて驚いた。

八幡さんの森にひときわ目立つ紫がかった花木がある。桐の花をみつけたのである。
距離でいえば自宅からは100メートルもないくらいで、同じ傾斜地にあって一段小高い森の一角だからよく見えるのである。
あの辺りは今月前半に毎日のように窓越しに桜を楽しんだあたりで、周りが新緑に包まれる頃となって忽然と主役に躍りでてきたようなものである。
というのは、ここにすんで5年になろうというのに、今まで桐があることなど全く気づかなかったのである。2,3年前には桐の花を求めて、わざわざ当麻のほうまで出かけたというのに、なんとも迂闊な話である。

灯台下暗しというか、普段見ているつもりで実は見ていない、ということだろうか。

枝を揺らすもの

椋来たと思へば鵯も山桜桃

隣地は更地にして果樹畑。

山桜桃

どうやら、山桜桃のようである。
3月には咲いて、サクランボに似た、幾分小さなめな実が熟しかけてきたようで、この2,3日鳥が来ては啄んでゆく。今朝などは、椋鳥の家族がしきりにつついていたと思うと、そのあとはいつものヒヨドリ軍団がやって来た。
ときどき、雀も混じって(もちろん山桜桃が目的ではないだろうけど)枝の中に消えてゆく。

数本ある山桜桃では熟すにも遅速があるらしく、この木が終われば次はあの木へと、鳥たちにとっては都合がよさそうである。
今またムク軍団が来て、あちこちの枝が揺れている。

曇りから晴れへ

金堂の御開扉さるる良夜かな
御開扉の金堂灯す良夜かな
天平の甍あまねく月明り

今日の唐招提寺は夕方5時から無料で開放される。

観月讃仏会が行われる御影堂の庭は有料だが、肝心の和上像は拝観できないうえ、会式の模様も前庭からでは遠く、燭の灯りだけで行われるので暗くてよく見えないというのが実情である。
だから、月の昇るまでの時間、ところどころの燭だけでほの暗い境内の好きなところで時間をつぶせばいいのだが、何と言っても最高の贅沢は国宝の金堂が特別開扉され、中のこれまた国宝の三尊像が灯りに照らされてそこだけがまばゆいばかりの光を放っている空間である。ここは人も少なく、誰に邪魔されることなくゆったりと浸れる。
照らされた三尊は正面の南大門からもよく見通せて、遠くからも荘厳な雰囲気に引き込まれる。

やがて観月会が終わる8時頃には月も高くなり、境内の松林のうえにようやく顔を出し始める。三尊の尊いお姿を堪能した後は、日本一の月が昇り境内にもほのと光がさしてくる。
月の光を浴びた境内の砂利と暗い建物の陰影とが絶妙なコントラストをかもしだし、幽玄の世界に引き込まれるようである。

奈良盆地は午後3時頃から雲が薄れてきた。
これなら今夜は間違いなく良夜であろう。

首まで浸かる

浴槽に浸るも久し夜の秋

風呂上がりが快適な夜だ。

ここ2,3日、ようやく夜の気温が落ち着いてきている。
いわゆる熱帯夜が続いている頃には体も火照っているせいか、風呂上がりの爽快感からは遠くエアコンの助けを借りてやっと一息つけるという有様だった。
だからいつもはカラスの行水程度だったのが、今日は首まで湯船に浸かってみても苦しくはない。

熱帯夜から解放されると思うだけで充分涼しいことは体が一番知っているようだ。