陵の濠

風なきに沼縄をゆらすもののあり

陵濠の主かぬなはを揺らしゆく

今日は佐紀路の佐紀盾列古墳群を巡って平城京・大極殿に至るコースを吟行するまほろば句会。

このあたりはNHK・BS3「火野正平 こころ旅」の奈良編初日の舞台であった。
最初に、近鉄・京都線の平城駅を降りて緑豊かな神功皇后陵、成務天皇陵、日葉酢媛命(ひばすひめのみこと、第11代垂仁天皇皇后)陵を巡ると、句材がありすぎて選択に困るほどだった。

成務天皇陵前の濠。蓴菜が一面に。

まずは成務天皇陵前の濠をびっしりと埋めていた蓴菜(じゅんさい)。古語では「沼縄」(ぬなわ)というらしい。花がまだ咲いてなくても葉の形からみて睡蓮の仲間だろうとは思っていたが、名を教えてもらって得心がいった。
その下を亀なのか、鯉などの魚なのか、姿は見えないが何かが葉の下をくぐるのだろう、葉がこちらからあちらへと順にゆっくりと揺れてゆく。

趣には欠けるが

安かろう輸入簾も悪くなし

そろそろ西日対策が必要になってきた。

手っ取り早いのが簾。去年買った古簾も紐が緩んだり、葦が欠けたりでさすがに値段だけのことはある。ただ、使い捨てだと割り切れば使用に耐えない分だけ新規に買えばいいわけで便利といえば便利。斜めにゆがんでいたり、長さが不揃いだったりして趣からはちょっと外れるが、これも割り切りで。
それでも、今年は、風によるバタツキを抑えるために重しを買って紐で引っかけてみた。台風並でなければ風で飛ばされることももうないだろう。

危機感が足りない?

雄花のみ咲きて実らぬ胡瓜かな

恵みの雨だったが。

胡瓜の株が背丈を超えるまで立派に茂ったが、こんどは雄花ばかりがやたら咲いて実が成る気配がない。日照り続きの頃は順調に実が収穫できていたのに不思議なもんだ。たっぷり水を含んだ土に安心して体を大きく伸ばすことに腐心しているのかもしれない。

夏の必需品

梅雨晴れや待ちわびし陽の容赦なき

久しぶりにからっと晴れた。

ここ数日間涼しい日が続いていたので、急な気温上昇はこたえるものがある。
月末で俳句会締めきりも迫っているので、切手購入かたがた近くのコンビニまで。もちろん帽子は必需品だ。

降れば降ったで

没すること丸一日の出水かな

大和川の河川敷がまるまる水没してしまった。

雨が引いて今は水かさも通常に戻ったが、いつもなら緑の絨毯の河川敷が草木が泥をかぶったままで茶色一色と化してしまった。
久しぶりの雨は大雨だった。盆地の雨という雨を集めて合流後の大和川は水位が大きく上がり、支流では線路が冠水しそうになって電車が止まったりするほどだった。さいわい氾濫するほどには至らなかったが、盆地の出口が狭隘なのでいったん氾濫すると手がつかないくらいの水害となりそうな地形だ。
我が家は高台にあるので直接の被害はなさそうだが、はたしてどれだけの雨量に耐えられるのだろうか、やや不安な大和川である。

連山正しうす

葛城の連山黒し梅雨晴れ間

雨が上がった。

南生駒のほうから平群へ降りてくる途中の眺めがすばらしい。生駒市南端の東山あたりが高度のピークとなっており、そこから下る道なのだが、左の矢田丘陵とに挟まれた平群の谷を見下ろしながら、右に生駒山、信貴山、そしてその先に二上山、葛城山、金剛山と起伏に富んだ景色が展開する。雨に洗われて空気が澄んだせいか、雲を生み出しつつある遠くの葛城連山の山襞がくっきり見える。また、雨に潤んだせいかどうか、山全体が黒くも見えるのだ。

殺虫剤

玄関の段差律儀に蟻の道

玄関アプローチを横切る蟻の列。

時折、大きな蟻が混じっている。今売り出しのアルゼンチン蟻でなければいいが。
蟻の殺虫剤というのを売っているが、家の下に潜り込むようでもないし放置したままでいいか。