猛暑の農作業

虫追ひの畦伝ひ行く煙りかな

家族総出で畦の草を刈っては火をつけてゆく。

草取りと害虫駆除を兼ねた作業だろうか。
燃えて盛んに煙りを上げているのもさっきはこちらの畦だったのが、今はもう隣の畦に移っている。

今日は実は「オクラ」を詠もうと考えていたのだが、よく調べると秋の季語であった。
それもそのはず漢字で書くと「秋葵」を当てる。
オクラとはokra、つまり英名なのだそうだ。和名では古くから「ネリ」と呼ばれているものに近いという。
wikiからの受け売り紹介です。

真昼の外出

身を入れる片陰ぞなき真昼かな

片陰というのは真昼には見られない。当然のことだけど。

用があって昼前後に外出せざるを得なかった。行きはいいものの帰りとなるともういけない。
陰を選んで歩こうにもその陰がまるでできないのだ。

上りの道を喘ぎ喘ぎ帰るのだった。

揺籃

揺りかごの写真便りや落とし文

「落とし文」。なんという粋で甘美な響きだろう。

これについては最近知人からホットな写真を送ってもらって初めて知ったのであるが、wikiによると初夏とあるが、むしろ歳時記にも今頃の時分に記載されており、立派な盛夏の季語。
これはゾウムシの仲間とされる虫の仕業で、卵を葉っぱでくるみそれを「揺籃」と呼び葉などにぶら下げておいたり道ばたに落としたりして、卵から孵った幼虫がそれを食べながら成長できる仕組みらしい。ユニークな姿といい、ユニークな行動といい虫の世界もなかなかに奥行きの深いものがある。

写真を勝手に掲載するわけにはいかないので、興味をもたれた方は検索してみてください。

覚悟の瞬間

認知症わずか兆しの土用かな

親が厳しい食餌制限のもとで痛みと闘う最期を過ごすことになった。

もう自分の食事さえ満足に作れなくなった親を在宅で看取るため介護申請して、今日が本人調査日だった。
調査員の方にいろいろ質問を受けるのを傍で聞いていたが、悲しいかな、もう昔の母ではない。10分ほど前に確認した内容はおろか、確認した事柄すら忘れているのを目の辺りにして、家人とも深く頷き合うのだった。

これからの闘いは容易なものではないことを覚った瞬間である。

過酷な

田水沸く適者生存言うものの

田の水が湯のように熱い。

6月も遅くに水が入った田なので、おたまじゃくしが孵ったのも遅かった。
彼らは鷺軍団の猛攻にも耐え、身を寄せながら小さな命をかけて頑張っていたのだが、無事にカエルに成長できたのだろうか。
そういえば、ここ数日は鷺の姿もあまり見かけなくなったようだ。

懐古趣味

店先の糖度を競ふトマトかな

最近のトマトというのは品種改良が著しい。

野菜、とりわけサラダや生食用に使われるものは特に甘いものが好まれる傾向にあるようで、トウモロコシ、トマトがその代表であろう。
とても名前が覚えきれないほどのトマトが糖度を競って陳列されている。

でも、暑い日中生で囓るのはやっぱり昔ながらの酸っぱいタイプの方が好きである。

照る日曇る日

陽の当たる当たらぬ日あり向日葵草

今日から表紙絵は紫陽花から向日葵となった。

写真の後ろが仏塚古墳の墳丘。このあたりを縄張りにする鶯がいて、いつも間近でいい声を聞かせてくれるが、今日は替わって時鳥くんだった。もしかして猛暑なので鶯くんはすぐ傍の高い丘陵に避暑を決め込んだのかもしれない。

照る日も照らぬ日も、向日葵は向日葵。ひとの毎日もまた同じ。