二百段巷を隔て沙羅の花
この時期、梅仕事も忙しいが、花だって忙しい。
紫陽花は雨を欲し、沙羅の花は今日を咲き急ぐ。
沙羅樹の足元には雨に散った花が落ちているが、花を踏んでまでそばに近づこうという気はおきない。
椿も同様だが、落ちたものとて落ちたものの命が宿っているようにも思えてくる。まして、たった一日きりの花となれば余計そういう思いは深いのかもしれない。
奈良盆地をみわたす伽藍の、一僧房の庭に立派な沙羅樹があり、塀越しにも一輪一輪がはっきり見える。
沙羅樹は沙羅双樹とは似て非なる別品種だと聞くが、寺院の一画におくと実によく似合うように思えるのだがどうだろうか。
