はやし咲く

天神に南高梅の冬咲ける

大阪天満宮の紅梅のなかには早くもピークを過ぎようとしているものがあった。

枝垂れ梅もすでに開き始めており、春を待たずに梅の季節。冬の梅といえば寒い中にもふるえながら咲かせているものを言うのだが、何しろこの暖かさである。
天神さんの裏門の脇に植栽されている南高梅の献梅も、繁昌亭の賑わいに刺激されるようにして咲き始めている。
寄席の太鼓が「早よ咲け、早よ咲け」とでも囃しているかのように。

ワンデートリップ

山膚の総毛立つ見え春近し

周囲の山がもやもやとしてきた。

まるで枯れ木という枯れ木の枝が総毛立つように、明らかに冬の様相とは異なる動きをみせている。
春の始動が目に見えてはっきりとしてきたということだ。
生駒の山腹に雲が落とす雲の形もくっきりとして、その影もゆったり流れてゆく。日の当たるところと影の部分のコントラストは冬の弱々しいものではない。
車窓から流れる景色を楽しみながら、短いワンデートリップに身を置くことができた。

寒の加工食品

寒餅を搗く音もるる集会所

シニアだけの餅搗き大会に誘われた。

これで地域コミュニティの一員として認められたことになるのかもしれない。
新しい団地だからシニアのいる世帯割合は10%にもおよばず、数少ないシニアも行事などを通じて見知った顔ばかり。
寒がもうすぐ明けるという節分の前の日になるし、なにしろ暖冬だからおかきなど加工食品にしたりして寒餅としての保ちの良さは期待できないかもしれないが、それでも豆を入れたりした寒餅をいただくというのは久しぶりのことなので今から楽しみにしている。

旅愁

新特急デビューは近し日脚伸ぶ
特急の通過待つ駅日脚伸ぶ

句座を終えてホームに待っていたら、クリームイェローの特急が滑り込んできた。

近鉄はこのごろ新車両の導入が目まぐるしく、この春はまた名古屋線に新しい車両がデビューするらしい。
近鉄特急といえばなんといっても賢島行きが行楽列車として人気で、近鉄駅などの観光ポスターを見るたびに旅愁を誘われる。
もう何十年も利用してないので昔のたばこ臭い近鉄特急のイメージばかりが残っているので、新しい車両には一度は乗ってみたい誘惑にかられる。

悪寒

新しき御世にもなじみ寒の雨

フロントウィンドウをたたく雨はいくぶん霙がまじっているような気がする。

ワイパーですぐに拭われて確認はできないのだが、ところどころ雨粒がつぶれた姿は単なる雨のものではない。
朝から雨だったのだが、午前中はあたたかい雨で少々濡れたくらいでは寒さを感じることはなかったが、午後からはまさに「氷雨」となって、高をくくって傘を持たないできた自分を反省する羽目になった。
夕方からは悪寒すら覚える寒い日となった。
お役所に届ける日付もスムーズに令和と書けるようになって来たこのごろである。

サーバーがしょっちゅうダウンを繰り返しているので、急遽サーバー引っ越しをすることにします。
移行期間は1日程度ですが、コメントなど新しいサーバーに反映できないことがありますので、明日以降にお願いいたします。

実景と虚景

風花をおろす生駒の空青し
湯畑の風花おろす白根山

雨かもと言う予報だった。

折りたたみ傘をしのばせたが、案に反して大阪は晴れ。
今日の題は「風花」。
いつもの年なら何回か見ることがあるのだが、こんなに暖かい冬ならば今年はもう想像で読むしかない。
生駒の上空は青空。風花は生駒颪がもたらしたことに。
NHK全国大会のため主宰は不在で主宰選はお預け。
湯畑のもうもうとした白い湯気、そこへ白根山から白い風花が飛んできて。白づくしの実景だが。

冬菜畑

保留地の畑の隅の雪中花

水仙の別名である。

雪の中でも花を咲かせるということから名づけられたという。
持山を開発して大きな団地を作り、地主が一定の土地を割り当てられたものが保留地と呼ばれ、造成が完了すると正式に自分名義の土地となる。
まだまだそういった空き地が目立つ団地だが、近くに住む地主が菜園として利用しているケースが多い。
そういったもののひとつが駅までの途中にあって、いつも丁寧に畑作をしているお宅がある。今日気づいたのだが、大事に霜除けされた莢豌豆など、整理された冬菜畑を囲むように水仙が群れている。
菜園としては珍しいくらい美しい畑で、それを小さな水仙の群れが見守っているという図式に思わず足を止められたのである。
それは美しい冬の景色であった。