寒い風

球団来て蛍の闇の失せにけり

地元の町にJ3チームの本拠地が移された。

ところが、町おこしという意味ではいい話しだが、蛍にとっては大迷惑となっている。
某大学が移転した跡地にやって来たチームだが、大学の立派なグラウンドがナイター設備をもつものだから、毎夜のように練習の光りがもれて蛍が激減しているというのである。
地域住民が長い年月をかけて育ててきた蛍の飛ぶ沢がグランドのすぐ下にあり、闇を奪われた蛍が恋の季節を迎えることができず個体数を減らすばかりだそうだ。
蛍は風のない闇の夕から夜にかけて飛ぶのはよく知られている。ナイターの練習時間がまさにこの時間帯に当たるものだから団体もお手上げだ。
行政では蛍保護活動のことは知っていたはずで、何の手も打たれなかったというのも胸に寒い風が吹くばかりである。

白十字

十薬や別の角度のもう一本

全部抜いたと思っていたが。

あにはからんや、しぶとく残っているのを発見。まあ、十薬とはそういうものだ。環境を変えないかぎり簡単には根絶できない植物なのだから。目くじらたててもしようがないというものだ。はびこらない程度に白十字が庭に灯るのも悪くはない。

思案

昼寝席猫にとらるる無聊かな

昨日のシェア畑草刈が効いている。

重い刈払機を振り回したので、腰を始めあちこち筋肉に軋みが出てちとつらい日である。
食欲だけは旺盛で昼もたっぷり食べたらいつものように眠くなってくる。
しかしながら、炬燵を引きあげてからというものいつものソファベンチが猫どもの居場所となって、ときには四匹がすべての席を埋めるのである。
こうなると飼い主の居場所がなくなる。お天道様が真上にあるうちは畑に行くにも早すぎる。どうしたものか腕を組んでの思案である。

青臭さ

旨いとてよこせしトマト甘かりし

感覚、とくに味覚においては個人差がある。

とくに野菜については世代間における差が一律的にあるような気がする。
たとえばトマトを考えてみてほしい。
冷たい水に浸したトマトをおやつ代わりに食した我が世代には、今の甘ったるいトマトは苦手ではなかろうか。独特のトマト臭さがあってこそトマトの味だと思うのだが、どうやら若い人たちにはフルーツのような甘さ主体のトマトがいいようである。おかずにするにはどうも甘すぎるのだ。
トマト独特の匂いというものを、生まれてこのかた食べたことのない世代が大半を占めるようになると致し方ないのかもしれないが、昔の味わいを再び得ようとすればもう自分で作るしかないのだろう。
旨いからと若い人からお裾分けいただいたのだが、今風に甘かったのは残念なことである。

免疫不全

院薄暑栄養注射など打たれ

腕まくりして覚悟の注射を受ける。

毎月のことだから、たんたんと済ませてもらうのには慣れたが。
最近体重が下げ止まらないので念のためガンマーカーなどによる検査を受けたが、とくに問題はなかったようだ。だけど原因がよく分からないのはやはり気分がよくない。
家人もアレルギー反応検査してみたが、杉檜花粉アレルギー陽性と出た以外とくに何もなし。あきらかに免疫機能異常と思われる反応が出ているというのに。
二人とも免疫不全的兆候があるように思えてならない。原因はあれしかない。

梅雨の足音

小満の錆削ぎ落とす砥石かな

今日20日から「小満」だそうである。

草木が周囲に茂り、満ち始めるという意味で、梅雨の走りが見られるときでもある。
当初は今週あたり、その梅雨の予兆みたいな日が続くと言われたが、一転して予想が変わり夏らしい日が続くそうである。
雑草もいよいよたくましくなってきた。
鎌もよく研いでおかなくちゃ。

乗換無し

ナイターに合羽姿の増えはじむ

朝からぽつぽつ雨が降り出す日。

降ったり止んだりの肌寒い日となった。
やることもなくプロ野球中継を見ていたが、途中までは横浜では雨ではなかったようだが佳境にさしかかるころ、ベイスターズの応援席にチームカラーの靑が急に目立ちはじめた。
アップで映された画像でどうやら携帯用レインコートと知れた。チームは劣勢だが雨となっても席を立つ気配はない。
そのまま惜敗となったが、この球場は旧居から乗り換え無しで行けるところで懐かしさもあって試合最後まで見てしまった。