成長

学校へ兄のあと追ひ花は葉に

腕白もいつの間にか小学校へ上がる齢になっていた。

四つ上の兄は親に面倒見るように言われたものの、いたずらっ子で気が強い弟をもてあまし気味でしぶしぶ通学を先導しているようだ。
ふたりとも学童保育学級で帰宅は5時頃。
やがて学校にも慣れてきたらもう兄の言うことなど聞かなくなるのは目に見えているし、二人だけの時間をどう折り合いをつけていくのか、気にかかるところであるが、お隣の家庭のことであり離れて見ているしかない。
兄弟は時間の経過とともに成長するであろうし、どんな少年に育っていくのか。6年間はあっという間に過ぎてゆくだろう。

平群谷の山には遠目にも桜の名残が認められるが、雨で増水した竜田川沿いの桜はすっかり葉桜となっている。

ジェットコースター

一夜さに草丈伸びて春の雨

昨夜雨が降ったようだ。

たいした雨ではないが、それでも心なしか草が一斉に伸びたような気がする。
寒い雨なら地温を下げてしまうのでこうまでは伸びないだろうに、暖かい雨だったにちがいない。昼はそのまま暖かさがつづいて27度にも達する夏日である。これが曇りがちな一日だったからよかったものの、昨日までのような強い日差しがあれば蒸し暑さも加わって苛酷な春の日となったにちがいない。
今夜未明雨があるらしく、その後はしばらく平温に戻るということだが、日々こうしてジェットコースターに乗ったようなゆらぎに翻弄されては身体に堪えるというものである。

Time flies

青垣のけふも霞んで日が暮れて

毎日夏のような日がつづく。

遠景はすっかり霞んで青垣の山々も輪郭が定かでない日がつづく。
視力0.7程度だからもともと遠くはくっきりと見えないのでとくに困ることはないが、やはり春たけなわだなあと思う日々である。
午前と午後とそれぞれ一つづつの仕事をこなせば一日があっという間に過ぎてゆく。
今日は猫どものタワー組み立てで2時間、葡萄棚修繕で2時間。あとは細々とした庭仕事であっという間に暮春の夕暮となった。
心地いい疲労に今夜もまたぐっすりと寝られそうだ。

側花雷

花に寄る蜂に親しみさえおぼへ

いろんな野菜が薹がたって今は花盛り。

とくにブロッコリーなどはスーパーに並んでいるあの大きな花雷を採ったあと、側花蕾という小さな花が節と言う節に咲くので見事なながめとなる。その美しさに顔を近づければ、名も知らない蜂が忙しそうに飛び回っている。
経験からいうと花に群がる蜂というのはこわがらなくていい。たとえ大きな蜂でもスズメバチのようでなければ。蜜を集めるのが仕事だから攻撃的でないからである。
顔のすぐそばで忙しそうに立ち働く蜂たちの羽音を聞くと、自然にすっと溶けこんでいけるようである。

今日も暑かった。日中の作業は避けた方がよさそうである。

人見知り

だしぬけにこの庭に聞く初蛙

今年も生きていたようだ。

短く太く蛙一声が壁に響いた。
草も大分伸びてきてそのどこかにいるんだろうが、居場所は分からない。声の大きさからすぐその辺りにいるのだけは確かなのだが。
そのうちにどこかで姿を見せてくれるに違いない。目が合えばそろそろと隠れてしまう人見知りなんだが。

危険ゾーン

軽暖や極暖てふを着しはいつ

薄暑であった。

身体がまだ冬モードなので今日も長袖に始まったが、さすがに畑作業は暑い。と言ってすぐに半袖にする勇気もなく。
しばらくは最低気温10度以上、最高20度以上の日が続くというので数字の上からみればTシャツに換えてもいいはずだが、身体というものは微妙なものでいきなりやってきた夏にまだ準備できてないらしい。このように季節の変化に即応できないというのはやはり年をくってきたのだ。暑いのを暑いと感じなくなったらかなり危険だ。その危険ゾーンに向かってちょっとずつ向かっているにちがいない。
意識があるうちはせっせと水分補給を心がけよう。

算段

日に一片目途の大蒜育ちをり

かつて一日一片の蒜を食べていた頃。

すこぶる体調がよかった。何より悪性の風邪を引かなくなったことだ。
それまでは年に一二回は高熱が出て寝込んでいたので蒜効果絶大を実感することになった。
蒜と言えば匂いが問題。しかしこれは二度加熱することで解決する。チンしてトースターで焼くのだ。これなら逆に香ばしくて丸のまま一個(一片)がりがり食べられる。
ここ十年ほどはその習慣が途絶えていたので、衰えた基礎体力にカツを入れるため50個くらいの蒜栽培に挑戦している。一個に六七片入っているので一年分くらいの量が採れる算段である。最初からそれを狙ったわけではないが、一キロの種ニンニクを買ったらそれだけの数が入っていただけのことであるが。
今のところ育ちに差があるがまあまあ太りつつある。