誘はれて桜の下の写生会
あれは四年生になる前の春休みだった。
新学期より水彩画を習うことになっていて、道具一式買ったばかりだった。
クラスの仲のいい友に誘われてさっそく写生会に行くことになった。
絵の具の使い方すら知らずどうやって描いたか、今となってはさっぱり思い出せないが、河原に降りて土手の桜を見上げるような構図だったことだけは記憶している。誰に教わるでもなくよく思い切って大胆に描いたものだと今でも思うが、なんとそれが入賞してしまったのだ。
後日クラスの先生から賞状を渡されてそのことを知ったのだが、まさかの話におどろくとともにおおいに刺激になったことは確かである。
ただ、どうやらそれはビギナーズラックだったようで、その後は鳴かず飛ばず。絵とはもっとも遠い人生となったのである。