体型

穴ひとつ足せば使へる黴ベルト

作業ズボンが破れた。

一つは現役時代の制服、もうひとつは今ブレーク中のワークマンで買ったもの。
酷使に耐えてずいぶん長く使えたが、このたびの畑仕事で両方ともつぶれてしまった。
そこで膝の屈伸が楽なこれまた昔のGパンを探し出してきたが、どうやら胴囲が大きい。そこで次はジーンズ用の太ベルトを探し出したのはいいが黴の匂い。
誰に見せるでなし、黴臭などすぐに消え去るわいと巻いてみるがやや苦しい。
体型もいろいろ変わってくるといろんなことがあるものだ。

鍬の柄

梅雨晴の風に兆せる雨の情

気温が高くても湿度が低く快適な日々も今日が最後かもしれない。

今度の前線には南の湿った空気が流れ来むわけだから鬱陶しい日が続くと覚悟しなければならない。
鍬の柄が古くてとうとう抜けてしまったが、幸いにして畝づくりのほうは一雨を待っての仕上げを残すのみとなり、三日半ほど酷使した体を休めるにもいい機会だ。
今日の午後は破れた掌のマメの手当と鍬の修理という軽作業で一休みというところ。
元田んぼの粘土質、しかも数年使われてなかった土地で固く締まっていてとても作物が育つとは思われない場所だが、徐々に手を入れていくことでそれらしくなってくることを期待して。

棒立ち

代掻の爺を叱咤の畝の婆

お婆さんが大きな声で叫んでいる。

耕運機のエンジン音が大きいので、運転のお爺さんにあれこれ大声で指示しているようだ。
何を言ってるのかよく聞き取れないが、何だか詰問調、ダメ出し調で爺さんが叱られているのは間違いない。
やがて叱咤の声もしなくなったので振り返ってみると、何と耕運機の操作をしているのは婆さんではないか。いっぽうの爺さんは畝に突っ立って黙って見ているだけという。
あちこちの田で水を入れ田植の準備で慌ただしい。来週あたりは田植えが始まるところが出てくるようだ。菜園のまわりは一年でも最も忙しいシーズンで賑やかである。

火照る

野良に立つタオルバンドのサングラス

四本の畝の区分が定まった。

午前2時間、午後は夕方の2時間ほど。奈良は今日31度だったらしいが、湿度もたいしたことなく、風があったので割りに作業ははかどった。心配していた疲れはあまりなく、不安のあった体力もまだ残っているようでしばらくは晴耕雨読ライフを楽しめそうである。
残った作業は高さの調整など畝の整形、畝間の水はけのための勾配づくりなどで明日に持ち越しである。明後日の雨が来る前には畝は完成といきそうだが苗を植えるところまでは無理かな。できるなら雨前に植えることができれば理想的なんだが。
日射しはさすがに強いようなので、今日は物入れをごそごそかきわけてサングラスを探し出してきた。それでも頬の火照りは避けられなかったようで、夜になっても治まらない。

皮算用

鍬振るふたび脱げ落つ麦稈帽

市民菜園が今日から使えるようになった。

何年か借り主がいなくて防草シートをかぶせてあったので、土が固くしまっていてこれを畝に起こすのは大変そうである。
今日は縁の雑草刈で午前中をつぶし、午後おそくなって涼しくなりかけたころから畝を線引きし畝四本のあらましを決めた。1.1メートル幅、長さ4メートル弱のものが四本。平行四辺形のいびつな畑なので、三角部分は道具などのコーナー。設計図が決まって今日はとりあえず一本だけ畝間を掬ったところで、午後六時を知らせる防災無線がなって仕事仕舞い。
明日は気温30度になるというから、どれだけ進めることができるかはなはだ心もとないが、木金が雨の予報なので二日間で完成できればいいがなと皮算用。
すでに両腕がパンパンで風呂に入ったらすぐにでも寝てしまえるが、締め切りの四句これから詠まなければ。

本格化

堰きって山水を張る田水かな

盆地に田水を張る季節がやってきた。

畦塗りを終えて水を待つばかりが大半で、水が入ったのはまだごく一部なのだが。
かしこの苗代田も青々としてきて、市民菜園のまわりも田植えを前にようやく動き出したようだ。

難点

青梅の重き楽しむ梅仕事

充実した青梅が2キロくらい採れた。

東京から持ってきた梅だが、ちゃんと花が咲いてしっかり梅の実を収穫できたのは今年が初めてだ。
「桜剪るバカ、梅剪らぬバカ」というが、梅の素人剪定はけっこうむずかしいところがある。どういう風に剪ればというのは書物なりウェブで調べれば分かることだが、何が難しいかはその時期で、書物や人によって言うことはまちまちなのである。
ある人は花梅のことを言い、またある人は実梅のことを言う。
花も実もという考えるひとはあまりいないようで、去年当たりからようやくそのポイントがつかめたような気がする。
まず、実を収穫したら一回目の剪定。梅は夏に来年の花芽を形成するのでその前に枝を整える。花を咲かせ実を生らせるには、要するに短い小枝をたくさんつけさせるのがポイント。今年ぐんと伸びた長い枝を整理しながら残すものは切りつめ、夏までに新しい小枝をいっぱい発生させるわけだ。
二回目は冬、花が咲く前に込み入った枝を整理する程度にとどめる。
一般には花が咲き終わったら剪定というのがセオリーだが、これは花梅の話。実は花が終わったらつけるわけだから花の終わった枝を除去してしまったらつける実が少なくなってしまうのである。
明日はこれで梅ジュースを作る予定。あまりにうますぎて夏本番になる前になくなってしまうのが難点である。