10句のうち、実景に着想を得たのは冒頭の句だけ。
それだけ、外に出てないという年でした。殘りは過去の記憶やテレビなどの映像、そしてそこからの連想などで生み出したものばかりですが、それなりにまとめることができたのは幸いでした。
結社では新年から句会再開となりますが、個人的には当分自粛しておこうと考えています。
豊年蝦田水に透ける半夏生
一片のぜいご舌刺す背越鯵
腰の立つものはこぞりて祈雨踊*
腰越の沖浪強し虎ヶ雨
南高梅笊にひろげる朝曇
舫ひ解く不漁覚悟の秋刀魚船
秋刀魚焼くあの戸この戸の青けむり
棕櫚を剥ぐ村の最後の一人かな
三輪山に尻を向けては麦を蒔く
タクシーの上席占むる熊手かな
*印は結社誌「雑詠鑑賞」の採用句。