老い

天瓜粉たたく二の腕やつれけり

汗疹に弱いというか、肌が敏感なのか、汗をかくとかぶれやすい。

とくに半袖Tシャツで過ごしていると腕の部分に現れることが多い。
そこで日中でも汗でべたつけば水道で流したり、風呂上がりには必ず天瓜粉をたたくのである。
黒いシャツなど着ているとすぐに目立つわけだが、誰に会うと言うこともないので大胆にたたく。
鏡を見ながらたたくのであるが、二の腕辺りは筋肉も落ちてさすがに齢をかくせない。
これも老いであろう。

目鼻立ち

濃き虹を置土産なる野分かな

遠い台風の尻尾が当地に伸びてゲリラ豪雨並みの雨をもたらした。

来たついでにせめて30分くらい降って乾ききった大地を湿らせてくれよと願ったところ、二度ほど来ては降らせて過ぎたがそのあと特別涼しくなったわけじゃない。ここのところ日課となっている夕方の散水が免れたのは助かったが。
さらにもうひとつ。ほんの短い時間だったが目の前に目鼻立ちのくっきりとした虹が立ったのだ。
あの方向はまだ降っているわけで今夜は気が抜けないらしいけど、ふだん家に閉じこもりがちな生活にちょっとした彩りを添えてくれた虹に感謝。

かきたてるもの

産土の杜に陣引き秋の蝉

つくつくもかなかなも聞かない夏である。

しかし、アブラゼミやクマゼミは相変わらずだが、ほんの少し変化が起きているのは一週間ほど前まで庭で煩いほど鳴いていた蝉の声が遠のいていることだ。
八幡さんの森にでも引いたか、いくらか静かな朝となって早くから暑さをかきたてることもなくてほっとする。
ここでかなかなでも聞こえれば秋を感じることだろうが、それはいつのことだろうか。

あとの祭り

宅配の箱取り入れる秋暑し
クール便すぐに汗かく残暑かな

残暑なんてもんじゃない。

炎帝がいまだどっかり居坐っているにちがいない。
全国の気温マップを見ても東日本がようやく真夏日レベルに達してきたのに、西日本は猛暑日オンパレード。
こういうときはひどいとこに越してきたものだと思ってもあとの祭り。

盆地の実り

隣県の空暮れかぬる稲の殿

山向こうが盛んに稲光する。

西の山ひとつ越えれば大阪だが、その上空に雷雲が走っているらしい。
今回は生駒山系に遮られてかさいわい当地にはやってこない。
遠くに稲光を見ながら盆地の稲という稲が実を結ぶのである。

短い夏

二学期の明日に始まる地蔵盆

7月24日が地蔵盆法要の日である。

ことしは23日が日曜と言うこともあって当地では今日催される。
いつもなら子供が楽しみにしているのであるが、今年はコロナ感染を心配して関係者だけで行われるところが多いと聞く。
夏休みの楽しい行事だが、夏休みは明日でお終い。子供たちには文字通り短い夏である。

栄養価

山畑の畔に座を占む南瓜かな

収穫してからしばらく寝かす方が甘味が増すそうだ。

農家では一か月とか保存してから、これを追熟というそうだが、出荷するケースがほとんどだという。
自家消費の場合では秋に収穫して何か月も保存しながら食べられるので、保存食という意味でも貴重である。
そう言えば、冬至に南瓜を食べると風邪を引かないというけど、あれは甘味がますうえに栄養分が損なわれないからではなかろうか。