あかず咲く

共稼ぎ所帯の垣の牽牛花

朝顔は昔、牽牛子(けんごし)といわれる種から薬をつくる植物だった。

だから、牽牛花(けんぎゅうか)ともいう。
昼間、子供を保育園に預ける共稼ぎ所帯では花の盛りを見ることはない。
かわって、隣人が毎日楽しませてもらっている。
先日の台風では支柱が倒されたが、株は無事だったようで、以前と変わらず毎日フレッシュな桃色の花を咲かせている。
おかげで来年も牽牛子からたくさんの花が咲くだろう。

つぎはどこだ

避難所に地震の初日の夜長し

全道停電だという。

一部復活したようだが、全道に灯りが戻ってくるのは一週間以上かかる見込みだとも。
大阪の地震に注ぐ台風禍、広島・岡山・愛媛の水害禍、つぎはどこかという漠然とした不安がもたげてくる。

山の向こうに

鱗雲山のあなたの日を映し

鱗雲が夕日を受けて金色に輝いている。

よりにもよって落日の彼方は台風21号による水禍に見舞われた浪花である。
澄んだ空に浮かんだまぶしい雲に難波津の惨状をまったくうかがいしれないのが悲しい。
当県でも被害は出ているが、その規模においては比べるまでもない。
ともあれ、台風一過とは言えないが、何となく秋の気配が漂ってきたのには一安心。
ただ、一時は聞こえた虫の声がいあまだ途絶えているのが気になっている。

三様

家固めアイス舐めてる台風裡
台風のニュースのネタの二人連れ

時折突風のように吹く風で家が揺れるように感じる。

窓という窓をがっちり閉めたら蒸し暑い。
あの風の中エアコンを回すのもなんだかなあという気がして、扇風機だけで我慢していたが、それも限界だ。
そこで、買い置きの例の井村屋アイスバーを舐めて一時しのぎ。

2時半をはさむ一時間ほどがピークだったようで、いつもなら一番いい場所を選んでは昼寝している、一番やんちゃのはずの長女猫・小町が意外に神経質でしきりに鳴いては何か訴えてくる。いつもの場所に寝転んでやると、ようやく安心したように落ち着いたみたいだ。残りの二匹はさっさと定位置について落ち着いたものだが、こういったときに三姉妹弟それぞれ性格の違いがあらわれる。
災害時のペットの問題はわが家にとっても大きな問題だが、実際そのようなときになってみないと分からない面もあって実態何も手をつけてないというのが正直なところである。

秋の訪れ

八尾女の八尾離れず風の盆
東の白みおわらの路地踊り

風の盆は今日まで。

観光客も大方消えて、夜通しの踊りは明日の未明まで続く。
限られた灯りに胡弓と三味、唄だけが際だつ踊りである。
この踊りがあるため故郷を離れられずにいても、おんな踊りには定年があると聞く。これが最後の夜となれば、観光客も引いて我が町で踊り明かすにも万感胸に迫りくるものがあるだろう。
風の盆が終われば、越中の本格的な秋の訪れである。

和えてよし

終焉の肚はくくれず韮の花
万葉のエディブルフラワー韮の花
歳時記に和へてうましと韮の花

夏とする歳時記もあるが、ホトトギス新歳時記では秋である。

たしかに、盆を過ぎる頃から蕾がぽつぽつと出始めて、今は一茎が満開である。こうなると葉はもう固くなってしまって食用に適さないが、蕾を摘んでこれを和えるとうまいという。もう少し様子をみて、蕾がさかんに出るようだったら摘んでみるのもいいかと毎日水をやっているのであるが。

台風21号

献血車より痩躯出でくる厄日かな

二百十日。

折しも、まさに、超特大の台風が迫っている。
火曜、水曜にかけて上陸しそうだというので、恒例のまほろば吟行が気にかかる。
動向を見て月曜日の昼までには決行か中止かを決めなければならない。
会員のほとんどはパソコンを使えないので、こういうときの連絡手段が電話しかないというのはいかにも面倒だ。
せめてショートメールがこなせればいいのだが。
会員がどんどん高齢化するばかりの俳句会というのも、ある意味危機的ではある。