筍の雨後の泥つけ引かれけり
包丁がすっと入った。
孟宗のそれはそれは太いやつだったので、俎に思い切り押さえつけて刃を入れたら、これが以外にさくっと切れたので拍子抜けしてしまった。雨後にぐんと伸びた直後だったのかもしれない。
というのは、これは毎年、背後の信貴山中の竹林から採ってきたのをお裾分けにいただくものだが、今年は猪の出没に身の危険を感じながら掘った貴重なもので、猪が見逃した数少ないものの一本だからである。
雨後の短い時間に伸びた筍は、猪だって食べるに追いつかなかった証拠であろうか。
あまりにも大きくて鍋に入りきれないので、頼まれて真ん中で割ったのが冒頭のシーンである。
今日掘ったものだから、刺身でもいけるかもしれないが、いつものとおり一緒にいただいた糠でさっそくアク抜きだ。
鉢の山椒もいまは小粒な若葉で香しい。
たっぷりふりかけていただくとしよう。