高尾山主なしとて帰り花
昨夜ご遺族からのメールで訃報を聞いた。
体調を崩していると人づてに聞いてはいたが、先月の同級生句会の投句、選句とも立派に済まされていたのでそこまで悪かったとは夢にも思わなかったので非常に驚いている。
「俳句を詠まないか」と君に誘われたのは10年前の早春城ヶ島ハイキングのときだった。
リタイアしたときの楽しみをみんなで共有しようと、君が音頭をとってくれたおかげで句会は今日まで続いているし、会員も当時の倍以上にふえている。それに何よりも、同級生の絆がより強まったように感じるのは僕だけではあるまい。
俳句に始まって、今では源氏物語読書会、百人一首談話室の活動にも広がり、それらは僕などにはとてもついてゆけないほどの深い境地に達している。
それもこれも君の撒いた種が大きく成長してきた証だ。
五千句を目指すこのブログとて、君が種を撒かなければ生まれてはいなかったのだ。
高尾向き来年こそは紅葉狩り
兼題「紅葉狩」に対して詠んだ君の絶唱である。
おそらく毎秋の高尾ハイキングは君の楽しみであったのであろう。
体調を崩して今年は実現できそうもないという無念が、今高尾の階にときならぬ帰り花を咲かせているのではないか。
君の旅立った15日は芭蕉の忌日(陰暦10月12日)だという。
奇しくも翁の命日に重なるようにして発った君の冥福を感謝をこめて祈るものである。
合掌。