酒量

秋風や葉書の欠に丸を打つ

この時期、いろいろお誘いの案内が届く。

暑さも落ち着いた秋は同窓会、OB会などのシーズンかも知れない。
我ら世代とそれ以上の世代の連絡手段はいまだに郵便で、メールやSNSなど便利なツールもあるなか幹事の仕事もなかなか大変である。
なかには毎年会報を発行している会もあり、たとえ欠席でも近況報告を兼ねて拙稿を送らねばならない。会の当日はしばらくは欠席会員の近況などを肴に盛り上がることになる。
秋の集いは熱燗などいろいろな酒がうまい。秋の夜長を、気のおけない仲間と過ごせばあっという間に時間が過ぎてゆく。どなたも酒量は昔に比べればずいぶん減ったが、自分の適量は十分コントロールできる世代となっている。

お手上げ

冷ややかに虫喰の菜を引つこ抜く

風が冷たかった。

立ちっぱなしでいると水洟が出てきてしょうがない。昨日からTシャツの下に長袖を着込んでいるのだが、それでも風が身のうちを通り抜けるようで寒くてならない。
大根を蒔いても蒔いても芽が虫に食われる。小蕪も、菜花もみな同じ。
青虫はネットをかければ蝶を防げるので影響ないが、土に潜む虫にはお手上げである。
その大根サルハムシは当地の菜園をやるまで経験したことのない虫である。
間引き菜の王様である大根がこのありさまというのは悲しいものである。

帰ろうサイン

部屋一つ割り当てられて夜長かな

今月から町内放送の帰ろうサインが午後五時に繰り上げられた。

春から夏は午後六時で、まだまだ暮れるには空も明るくやれることも多い。だが今となっては日が沈むのも早くあっという間に時間が過ぎてゆく。
蚊も少なくなって外もいいが、どうしても秋は室内に居る時間が長くなる。
夕飯、風呂が終われば夜は長い。

違和感

またとなき笑顔のポーズ秋桜

草刈をしていてコスモスに刃が触れた。

気をつけていたのだが、あっという間のできごとでせっかくのコスモスに悪いことをした。
コスモスにもいろいろあるようで黄色いのは咲くのも早く花期も長いようである。
あちこちの園地では黄色のものは少なく、ピンク主体の昔からよく見るタイプが多い。
暑さから解放されて、何万本と植えられた公園には老若男女多くの人が押し寄せている。花に埋もれてスマホにポーズをとったり、納めたり。みんながみんなスマホかざしているのにはどこか違和感も。

急冷

気に入りのシャツほころびて秋めける

急に秋らしい日となった。

いつものシャツでは寒いくらい。しかし体はまだ夏仕様のようで、昼間なら一枚でも何とか過ごせるほどだが夜はさすがに薄掛けはミニマム。今朝などは開け放してあった窓さえ閉めて縮こまっていたのだが。
今夜あたりは長袖パジャマの出番かも知れない。

マナー

草の実にしがみつかるる日なりけり

共稼ぎのお宅は庭の手入れもままならないようである。

隣家に枝の垂れたまま、盗人萩もまたフェンスから越境というような具合。うっかりすると肩や背中、袖などにびっしりこびりついて剥がすのに往生する。
近寄らなければいいのだが、どうしても通り抜けねばならぬこともあり痛し痒し。
住宅街のエチケット、マナーは大事である。

十六夜

パソコンの電源落とす虫の夜

微かだが聞こえたような気がした。

エアコンの要らない夜となって、窓を開けていても今年は虫の声が届かない日が多い。
どうかして聞こえる夜もあるが、虫すだくにはほど遠く耳を澄ませてようやく聞こえる程度なのである。
十六夜は虫も遠慮がちなのかもしれない。
昨夜は名月、今夜は虫の声に耳を澄まそうか。