長じるも恐竜よくて蜥蜴だめ
目の前を蜥蜴が走った。
身の毛がよだつとまではいかないが、蛇、蜥蜴の類いは苦手である。いわゆる爬虫類に属するが、同じ爬虫類でもこの世にはいないと分かっている恐竜は好きである。
ただし、恐竜を先祖とする鳥類、遠くから見るにはいいが、あの目、あの足を見るといけない。恐竜の目、恐竜の肌なのである。だから、鶏肉はいまだに食べられないときた。
めざせ5000句。1年365句として15年。。。
長じるも恐竜よくて蜥蜴だめ
目の前を蜥蜴が走った。
身の毛がよだつとまではいかないが、蛇、蜥蜴の類いは苦手である。いわゆる爬虫類に属するが、同じ爬虫類でもこの世にはいないと分かっている恐竜は好きである。
ただし、恐竜を先祖とする鳥類、遠くから見るにはいいが、あの目、あの足を見るといけない。恐竜の目、恐竜の肌なのである。だから、鶏肉はいまだに食べられないときた。
軒下にあれこれ吊るし女梅雨
何もかも梅雨湿りして鬱陶しいったらありゃしない。
まったく気の抜けない梅雨である。止んだかと思うとまたそぼ降って、かと言ってその雨は長続きもしなければ止んでも決して晴れてはこない。何をするにも、何処へ行くにも雨の覚悟、用意の要る日がつづいている。
これを女梅雨と言うのだろう。梅雨があっけなく終わってしまった昨年とは大違いの今年である。
おかげで紫陽花はすこぶる色つやもいいし、日陰を好む茗荷も生き生きとしている。
どちらかが立てばどちらかが凹む。物事にはすべて表裏があるということのようである。
ひしめきて黄ばむばかりの余り苗
それにしても大量に余ったものだ。
その余った苗を一カ所に集めたらこんなになったのだろう。
機械植え用の苗床というのはサイズが決まっていて、30センチ×60センチくらいの大きさに統一されている。それがそのまま固まりのまま田の隅に植えられているようである。
どの苗も肥料も切れて黄ばみはじめていて、いつ出番ともしれない哀れを伴う。
一方の植えられた方はと言えば、苗代の窮屈さから解放されて、生き生きと緑の葉を伸ばしている。
余り苗が使われることがないのはもちろん農家にとっては一番いいのであるが、成長もできず片隅で肩寄せ合ってほそぼそと生きているのも健気なことよと思うのである。
髪切虫まだらに免じ赦しけり
髪切り虫を庭に見つけた。
人目には胡麻斑模様が美しく、長い触角を左右に振りかざしているので可愛いと思うかもしれないが、これが厄介な虫なのである。
名前の通り鋭い歯をもっているようで、固いものでもかみ砕く顎の力がすごい。樹木に産みつけられた卵から孵ると、木の中に穴を開けてあの成虫が現れる。それが梅雨時の今ごろなのである。
二三年前に珍しい楓を鉢に育てていたのが急に枯れてきたのもこいつの仕業と知った。
というのも、枯れる前にはおびただしい木屑(これが最初は何の粉なのか、まさか髪切虫がせっせと木の根元に穴を開けているとはつゆ知らなかったのだが)が木の根元に盛り上がっていて、たいして気にもとめずにいたらその翌年ぱたりと枯死したわけである。
産卵時期は秋だと言うから、その前に見つけ次第始末したらいいのだがどの木が気に入れられるか分からないし、もしかしたらどこかへ行くかもしれないと見逃すことにしたのだが。情けが徒とならないことを祈るばかりである。
木守ともならず実梅のごろごろと
採り忘れがあったようだ。
シロップにするために2キロ弱ほどの実梅を収穫したところ、残したつもりがないのにやはり見落としていたようで黄色く色づいた熟した梅が落ちていた。
柿の実というのは熟してもなかなか落ちるということはなく、冬には「木守柿」と言われるように翌年の豊作を願って意識して残す代表的な果実である。さらに、梅雨はじめの頃の柿の花は小さな実をつけたままぽろぽろ落ちてしまう風情さえも詠われて夏の季語となっている。
梅の実はいったん結べばほとんど青梅に育ってゆくのと好対照である。
柿の実は熟して樹上で長命、梅の実は短命。これもまた好対照。
梅は落梅が自然生えすることが多いが、柿は難しい。これもまた好対照。
それぞれおおいに特徴が異なるが、果実いろいろもまたゆかしい。
椅子ひとつ猫と取り合ふ梅雨籠
梅雨らしい日が続く。
ぴちぴちでもなく、ちびちびというそぼ降りである。
外でやることもないので、一日中を部屋で過ごす。立っているわけにはいかないのでソファや椅子で過ごすのが大半だが、食べちゃ寝るのが本性の猫どもにとってはこれがライバル。
ちょっとでも席を離れるとさっとやってきては席を占領する。空いている席はほかにいくつもあるのにである。
レストランなどでは窓際、壁際から埋まっていくが、猫も人間同様どうやら壁を背にする傾向があるようである。
椅子取りゲームの敗者は定位置を奪われて、あちこち居場所を転々とするばかりである。
補植の手休むことなし夏燕
あっという間に苗で埋まってしまった。
週末を待たず田植があったようで、余り苗も風にさやいでいる。
いまどきはどこも機械植えだが、小さな田などはどうしても隅などに機械が入らないのであとで人の手で植え足すことになる。
今夜も雨らしく燕が田をすれすれに飛んでいる。補植の人がいようがおかまいなしに10羽くらいがしきりに飛んでいる。そのなかで、周りのものとちょっと違うのが混じっているのが目を引いた。
尻尾の近くが背中腹とも赤い。よく見るものよりちょっとだけ大きいような気もする。
帰って調べてみると、日本には何種類かのものが飛来するようで、そいつはずばり「コシアカツバメ」と言うらしい。初めて見るツバメである。