応援

扇風機風に貴賤はなかりけり

扇風機が心地いい風を送ってくれる。

梅雨の晴れ間は湿度もなく、わずかな風で人心地着くことができる。
扇風機のそよ風にさそわれて、ついうとうとと眠りに落ちそうになるのがちと難だが、それも悪くはない暮らしに馴れてくたびれたなと思ったら逆らわないのがいい。
ただ、昼寝は30分まで、それ以上寝ると睡眠リズムが狂うからと言うが、さいわい夜はすぐに寝られるたちときている。
起きては体を動かし、英語リスニングの学び直しに30分、そして疲れたら休む。眠くなったら寝る。
そんな毎日のリズムがすっかり染みついてきて、安物の扇風機がそれを応援してくれている。

一滴

舟形のカーブ嫋やかめろん掬ふ

毎年の頂き物のメロンが食べ頃となった。

夫婦二人で一度に一個は食べられないので、ひとり四分の一ずつくらいだろうか。家人がカーブした皮に沿って上手にカットを入れてくれるので食べやすい。
マンゴー、桃、葡萄、果物数あれど家庭のデザート果物としてはメロンが最高の贅沢品かもしれない。
一滴一滴雫をいとおしみながらゆっくり味わう午後となった。H君、いつもありがとう。

第二弾

瓜漬食む音に朝の来たりけり

今日の胡瓜はうまい。

どこの胡瓜だろうか。
菜園の胡瓜はぼちぼちと収穫が始まったが、気のせいか味がうすい。できるだけ胡瓜臭いものを食べたくて、昔ながらのものの種をまいたのだがやはり収穫初期の頃は味がのらないのだろう。
トマトにも同じようなことが言えるようである。トマトの味は秋にまさるものはない。甘さに旨さが加わってなんとも言えないあじである。露地栽培では仕舞梅雨に実が割れたり、暑い夏がきたら一気に終わってしまうところがあり、もったいない話しである。その後辛抱しながら栽培続けるといいのだが、秋冬野菜の植え付けもあってさっさと片付けられるのが素人菜園である。
胡瓜も実が生りだしたら終わりは早い。第二弾胡瓜の種をまこうと思う。

庭の守人

子蟷螂ほほに降る風のいたずら

生後2〜3週間くらいだろうか。

頬に草の葉でも触れたような気がして、肩に手をやるとそれは蟷螂の子だった。体長2センチほど。生まれたては1センチあるかないかぐらいなので冒頭の推量も大きくは外れていまい。
手にとるとじっとこちらをにらみ返してくる。
着地を失敗したくせに、人を恫喝するとはたいした度胸である。
今年も庭の守人として悪い虫をやっつけてくれるだろう。

自己点検

横持ちの傘の切つ先五月晴

小さな子供が怪我をする危険があるという。

歩くと知らずと傘を持った腕を振るものだが、これが後続の子供の目などを傷つける事故につながると。
なるほどと思ったのが、たまたま見た朝のテレビの警告である。
電車のなかでは傘をきちんとたたんでベルトでしっかり止めましょうという呼びかけはあるが、その使わない傘をどうやって持ち歩くかは人さまざまで、こうしなければいけないというルールもマナー上の約束事もない。
うっかり傘の真ん中を持って歩いてないか、自己点検の必要がありそうだ。

風通し

徒長枝をぬいて狭庭の夏用意

今日は枝垂れ梅をすっきりさせた。

すると今まで徒長枝などで遮られて見えなかった実梅がごっそりと姿を現した。
この枝垂れは曽我梅林で苗を買い求めたもので、引っ越しとともに東京から移植したもでのある。毎年赤い花を楽しませてくれるが、あまり実がついたことはなかった。たまに着いてもいわゆる小梅程度で食用にすることなど思いもつかなかったのである。
ところが、今年のは直径2〜3センチもあって、数が揃えばシロップにもできるほどもある。ただ、いかんせん一キロにも満たない量なので、さあ、どうしたものかと思案している。
白梅の方も枝抜きをしてさっぱり夏化粧。
風通しもよくなって、なにより庭の一画が少し明るくなったようだ。梅のために窮屈な思いをしていた紫陽花たちがなにやら嬉しそうである。

滑舌

許可局とはつきり聞こゆほととぎす

まだこの辺りにとどまっているようだ。

菜園に着くなり棚田の奥のほうから時鳥の声が聞こえてきた。それも今日のはかなり明瞭だ。
「トッキョキョカキョク」と啼くと言われるが、まさにそれなのである。とくに「キョカキョク」の部分がしっかりそのように聞こえてしばらく聞き惚れた。
さっそく真似して「トッキョキョカキョク」と言おうとしたが、全然舌が廻らない。早口言葉、滑舌の練習にも用いられるフレーズだが、いくつになっても上手にはなれないでいる。
日本語の特徴として、舌や、口の周りの筋肉などはあまり使わないこともあって、このフレーズは平坦に流そうとするとまず無理のようである。「オ」の音が多いのでそれを意識して唇を縦に突き出すようにチャレンジすると意外にうまくいくようである。試しに、まずは最初の「ト」から口をすぼめて始めると意外に後が続く。お試しあれ。