エネルギー

春めくやミルク一函買ひに出て

気温が数度上がっただけですごく暖かく感じる日だった。

昼間ずっとやわらかい春の日差しがあったからだ。
あらためて太陽のエネルギーは偉大だと思う。
このエネルギーなくしては植物は光合成できないし、酸素も供給できない。植物が炭素を取り込んで有機物を作り、それを人間などの動物がエネルギーに変えて活動する。そのときに呼吸によって炭素は大気に戻されるし、植物や動物の遺骸を微生物が分解するときも炭素が放出される。このように炭素は循環するわけであるが、エネルギーはこれら活動によって大気に放出される。
人間が化石燃料を発見してこれをエネルギー源として産業革命が起きたわけだが、これは過去の植物が溜め込んだ太陽熱エネルギーによる炭素を一気に使い果たしているわけで、歴史上かってない規模で炭素が放出されていることになる。
経済活動によって炭素が増えたように言われるが、近年は化石燃料を原料とする肥料に依存する農業が最も排出量が多いと言われるようになった。化学肥料に依存するようになって大地を耕せば、取り込んだ炭素を取り組む微生物が姿を消し一気に炭素が排出されるからである。
酪農による牛のげっぷが炭酸ガス濃度上昇に荷担しているという説もあるが、それよりは化学肥料依存による炭素濃度上昇のほうがはるかに多いのである。
その酪農だが、いま日本の酪農は大変な苦境に立たされている。コロナによるインバウンド需要、給食需要縮小のため生乳を捨てざるをえないところまで追い込まれている。工業製品のように在庫がきかないし、余った生乳を弾力的に乳製品に転化するルートも閉ざされているからである。さらに円安によるえさ代高騰もあって廃業寸前のところまで追い込まれている農家が多いと聞く。
国内の酪農をとりまく環境はきびしいが、せめて牛乳なり国産の乳製品を買うのも支援になろうか。

そこはかと

時差式の信号長き余寒かな

まさに今このときが三寒四温というのだろう。

明日から二三日は暖かくなっても、その後にまた寒さが戻ってくる。
トレンドでは底を切り上げながら右肩上がりに気温が上がってゆくにしても、行きつ戻りつのサイクルが今年ほどはっきりしている年は珍しいかもしれない。
春になってもそこはかとなく残る寒さを余寒というが、気をつけてみればあちこちに見られるのかもしれない。
たとえば、飛鳥寺へ通じる一方通行路。時差式の信号で止まれは4分、ゴーは30秒。一方通行区間が長いためだ。循環バスが通る道だからこその対処だが、待っている時間がほんとうに長く感じられて寒さがよけい身に沁みてくるのだ。

小雪ちらつく

種物屋この後家にして商売人

雲間から太陽が顔を出したり、かと思えば小雪がちらついたり。

忙しい天気である。
手許の気温計では7度。
冴返るというほどの寒さではないが、夕方になって暖房も入れないでいると猫たちが催促して騒ぎ出す。
人間たちは外出したりして体が温まっているので必要は感じなかったが、彼らをおとなしくさせるには止むを得ない。ようやく夕方5時になって床暖房オンとなる。
今日は猫のトイレ砂やシートを買いに出たのだが、ひと頃より五割くらい値上げしているのには驚いた。消耗品だからとぞんざいに扱ってきただけに、これからは一粒一粒、一枚一枚だいじに使わねばと思う。
この寒さは明日まで。もうしばらくの辛抱かもしれない。

モード

料峭やファスナー噛んで業煮やす

寒い日が戻ってきた。

体を動かしていても温まらない。
ポケットのティッシュペーパーを探るが、悴んだ手はうまくつまむことができない。
あす朝はまた零下に戻り、昼間も五度に届くかどうかだという。
体はすでに寒のピークを脱したモードになっているので、これは容易なことではない。

骨休み

傘杖に立つバス停の春の雨

今日は朝刊のない月曜だった。

うっかり郵便箱をのぞきに出て雨だと知る。
ただ、ぱらぱらと降りかかるという風情の雨で、先日までの冷たさは感じなかった。
駅へ急ぐ人も嵩をさしていない人もいる。
たいして濡れるほどでもなく、冷たくもない、いわゆる春の雨である。
降ったり止んだり、結局夕方まで晴れ上がる気配のまったくない一日であったが、きのう天気につられて体を酷使したのでいい骨休みとなったようである。

感慨

ホームセンターのはしご楽しく暖かく

あるものが必要になってホームセンター巡りをした。

朝から外出が苦にならないほど暖かさにつられて、目についた珍しい種ジャガイモも入手。
畑ではいつもより一枚、さらに一枚脱いでは汗をぬぐう。
この暖かさも今日まで。明日からはまた寒の戻りがしばらくあるという。それが明ければ螺旋的に気温が上がる日和となるに違いない。
今日は父の命日。父の年齢を十も超えるほどながらえたことを何とも妙な感慨にふけっている。

梅爛漫

梅白し夜の帳の奥になほ

寒さで進撃が停滞していた梅が再び前進を始めた。

最初に咲いたグループはさすがに咲き疲れが目立ってきてようだが散るには至っていない。
今日に続いて明日も三月の陽気だそうで、残る蕾も一気に開くかもしれない。
梅爛漫の庭である。