露けしや象の小川の屋形橋
万葉に多く歌われた渓流・象の小川そばに桜木神社がある。
大己貴命・少彦名命(つまり大国主)と天武天皇を祀った神社で、ごくせまい山あいに建てられているのでさして広くはない。
社名の由来は、天武が壬申の乱のとき大海人皇子として大津から逃れてきたとき討手から身を守るために、とっさに隠れたのがこの社にあった桜の木だったという伝説にちなむ。
神社へのアプローチは象の小川を渡ることになるが、両岸に多くの木が覆うようにしているのでたいそう鬱蒼としていて、橋はいったん道路より数段低いところに降りて、渡ったらまた階段を登って境内にあがるようになっていて、屋形とよばれる屋根をかけた大変珍しい形をしている。
このあたりはしじゅう川霧がたちこめ、露にも濡れて湿っぽいうえ、杉など周りの木々から落ちる葉なども散り敷くので、それらから守られているかのようだ。
今年は何句か「露けし」の句を詠んでるが、この橋は文字通り露に濡れがちなのである。