ヘッドライト

山峡の夕暮れ早し柿一本

曽爾高原からの帰途R369を走る。

山あいを走る道はぐんぐんと暗くなってゆく。誰も手をつけないのか、民家の庭に黄色い実をいっぱいつけた柿の木が目にとまる。

快晴無風

芒野や子狐ぴょんと出るかもね

天気があまりにもよかったので、思い立って曽爾高原の芒が原の夕陽を見に行った。

曽爾高原へは本伊勢街道の三重県境手前でちょいと逸れるのだが、もう午後3時は回っているというのに大変な人出だ。亀の山という亀の甲羅のような形をした山の裾がすべて芒の原っぱで、真ん中にある亀の池という湿地帯をぐるりと囲うようにある遊歩道には午後9時まで灯明がともされるらしい。兜岳に沈む夕陽を逆光にして芒を撮り終えたカメラマンたちはさっさと帰り支度をしているのだが、若いカップルたちはまだまだ帰ろうとしない。

芒の原に立ち入ってカメラにポーズをとる小さな姉妹は、まるで芒の原で遊ぶ子狐さんのようでとても愛らしい。

放射冷却

共稼ぎ世帯に火点す宵寒露

真っ暗だった共稼ぎ世帯の窓がぱあっと明るくなった。

先に帰宅した人が真っ先に洗濯物を取り込んでいる。屋根のあるサービスヤードだから夜露には当たらないが、地面はすでにしっとりと湿気を含んでいる。明日朝の予報では放射冷却現象で盆地は冷えこむと言っている。そうなるとあたり一面は露がのっているのだろう。

丹波の黒豆

枝豆の薄皮黒し丹波もの

丹波の黒豆を夏至の頃播種したものが、ちょうど収穫時期を迎えた。

とりあえず枝豆用にと2本ばかり抜いてきたが、やや黒味がかった薄皮に包まれて大きな粒が鞘におさまっている。食べ頃を過ぎたかと心配していたが思ったよりは柔らかい。この分だとあと1週間ほどずらしても問題ないだろう。
ただ、残りは煮物用にとっておく予定だ。

黄色い鏡

雨のみち黄色く染める銀杏かな

雨に濡れた舗装路が歩道の銀杏の黄葉色に染まっている。

1キロくらい続く銀杏の並木道はまるで鏡となって銀杏色の光を反射している。先月にも詠んだ住宅地の道路なのだが、その黄色が一段と深まるとともにところどころの木の下にはギンナンの実がびっしり落ちている。なかなか大きな実なのに近所の人は誰も拾わないのだろうか。

雲がたなびく

霊のぼる峰に聞かまし秋の声

雨が上がったら、三輪山から雲が湧いているのが見えた。

今頃はあの上空をゆっくりと昇っているのだろうか、母の魂は。

登校の声

朝露や制服似合う登校かな

ここ数日は高気圧が覆っているせいか、毎朝車の屋根・ボンネットには露が降りてびっしょりだ。

いつものように起きて、いつもよりぼおーっとしていると元気な子供たちの声でようやく頭が覚醒し始める。集団登校の時間だ。黄色い帽子に茶色の制服、空気が閉まっているせいか、みんなちゃんと身に着けている。

母の回向をお願いしたお寺さんが三輪山と密接に関係しているのを今朝になってインターネットで初めて知った。両親の宗旨は曹洞宗なのでたまたま「三輪山平等寺」さんにお世話になったのだが、境内があの三輪山の山中にあるというからびっくりしてしまった。
家の地鎮祭にお世話になった神さんといい、今回のお寺さんといい、当地の寺社の縁起には古い歴史があって当たり前なのだが、それにしても一気に神代や古代王朝に戻るというのはさすがというべきか。少し落ち着いたらお参りすることにして、またいろいろ勉強してみよう。