御身代わり像瑞々し花は葉に
四年前に御身代わり像が完成していつでもお目にかかれるようになった。
とは言え、安置された開山堂のガラス戸には新緑が映りこみ、顔を近づけなければ中の様子は見えない。
芭蕉翁が「若葉して御目の雫拭はばや」と詠んだ鑑真和上の像は御影堂に安置され、毎年6月の三日間だけしか開扉されない。そこで、「脱活乾漆技法」と呼ばれる当時の技法によって忠実に模造した像を毎日参拝できるようになった。
四季を通じて参拝できるわけだが、翁の句が頭にあるせいか、新緑の時期がいちばん似つかわしく感じてしまう。
例年よりずいぶん早く夏の気配である。目に映るのは初夏のものばかり。俳句は季節を先取りというが、今年は季節のほうが先に行く感が強い。
