奥津城

救急車よぶに半刻余花の郷

鰻を食いに津まで。

高速道路で往復するだけでは能がない。新緑の時期でもあり、一度は通らなければと思っていた伊勢本街道経由でだ。
これが大正解。目にしみる新緑とはまさにこういうときを言うのか。
とくに、ちょっと寄り道した北畠神社に隣接する「北畠氏館跡庭園」はいかにも武家の庭らしく剛健そのもの。池をめぐらせてその護岸の石組みといい、庭園の石群がバランスよく配され、それら石群らの上には楓などの新緑が影を落としていて全体が緑がかってみえる。

枯山水といへど若葉明りせる
若葉して武士どもの館跡

伊勢本街道とはここで別れて、かつての名松線沿いの道路に戻ろうとしたら、県境の方から来たのであろう津ナンバーの救急車が来て、その後方を伴走する形となった。ところが、行けども行けども救急車は目的地に着かないらしい。とうとう旧久居警察署まで一緒することになった。その間約30分ほどだろうか。
おそらく旧久居市内の病院に向かったのであろうが、呼んでから迎えに来るまで30分として、異常があってから救急病院にたどりつくまで往復に最低1時間以上もかかる計算になる。平成の大合併もいいが、過疎地医療の深刻さというのは解決するどころか、さらに悪化しているのではないかとさえ思えてくるのだった。

疑はぬ廃線復活落花掃く
廃線の鉄路かげろふ奥伊勢路
廃線を糾ふ道の余花しげし

氷室神社献氷祭

献氷の細工透かして若葉陰
献氷の細工を染める若葉かな
かき氷日がなふるまひ献氷祭

今日5月1日は奈良市氷室神社の献氷祭。
氷室神社献氷の龍

奈良時代に春日野に氷室を設け、それを祀ったのが起源という神社らしい。
この日は全国から製氷冷凍業界の人たちが集い、この年の天候が業績に幸いするように神前に氷柱や、なかには写真のように龍の氷細工が献じられていた。
溶け始めた氷から点々としずくが滴って、今日は気温も25度近くにのぼったらしい。境内では無料のかき氷に列ができるほどで、外国人観光客たちも珍しそうにして食べていた。

神事もいろいろあって、夜には氷の献灯もあるほど一日中続くお祭りだが、万葉植物園の藤棚ももう一つのお目当てなので長い時間はかけられなかったのが心残りといえば心残り。

猫の寝床

空き箱を猫ちぐらとす薄寒

急に冷えてきましたね。

人間には厚着だの、暖房だの、布団に毛布だの、いろいろ防寒対策が打てますが、人間より寒がりだとされてる猫たちにもそろそろ寒さ対策を考えてやらなければならい時が来ました。
ということで、雪国の「猫ちぐら」(*)ならぬ空き箱の寝床をためしに作ってみました。まず、段ボールの一面に出入り口となる分をくり抜きます。箱のかどはガムテープでしっかり止めます。底には百円ショップで買ってきた小さな座布団を敷いて完成です。
早速試してみたら、一番好奇心が強い子が真っ先に入って寝心地を試しているようでした。好評ならさらに人数ならぬ猫数分を作ってみましょう。

(*)猫ちぐら
新潟県の雪深い集落などで昔から作られてきた、藁で編み上げた猫のためのベッドです。

これも秋の香り

前籠に分けていただく今年藁

藁塚がここかしこで見られるようになった。

昨今コンバインで一気に粉砕されてしまうことの多い稲刈りだが、当地では比較的規模の小さな田が多いので手作業がまだ続いているのかもしれない。今日も平群を走っていると、いくつかの束を自転車の前籠に積んでいる光景が見られた。前後の様子からどうやら田の主にお裾分けしてもらったものらしい。藁というのは、真夏の乾燥や虫害の防止、冬には避寒対策の材料としてはうってつけなので、庭や菜園などに使うのだろうか。

小さな命

芝刈るや蜘蛛の子さっとちりぢりに

伸び放題の芝生。

暑さが幾分落ち着いたところで、しばらくぶりに鋏を入れてみた。気がついたんだけど、芝生って想像以上に小さな虫たちの隠れ家なんだよね。だから、それらを餌としてるんだろうね、雨蛙が飛び出すわ、コオロギの仲間がいたり、生まれて間もない蜘蛛の子たちが慌ててちりぢりに散るわでびっくり。
蜘蛛の子は夏の季語なんだけど、あの子たちがこれから天敵から身を守りながら必死に生きてゆくんだろうなと思うと妙に親近感を覚えたよ。

大和牛

帰省子のために用意の肉を焼く

今夜の夕食は揃ってのバーベキュー。

蚊遣りを何個も焚いて虫対策も万全、うまい具合に涼しい風も吹き始めた。それに何より、大和牛が案外いけるのだ。柔らかで甘いのだ。それから、デザートは津の香良洲産の梨。これがまあ、甘いこと甘いこと。
贅沢三昧の涼夜であった。

町立プール

更衣室かけこむプール俄雨

さきほどまであれほどカンカン照りだったのに黒い雲とともに雷が鳴り出した。

夏休みに入って町営プールは連日大盛況で、駅まで行くときに通りがかったときも駐車場は満車状態で、道路から一段低いところにある大小のプールもよく見える。いかにも気持ちよさそうでうらやましく眺めていた。
ところが1時間ほどして帰りに通りかかると、あれだけ賑わっていた人々はほとんど引いた後でまばらな人影しかみえない。どうやら先ほどの突然の雷雨でみんなプールから上がってしまったようだ。さぞや更衣室は混んでいるだろう。