輪郭

消防団ホース日干して梅雨明けむ

当地は実質梅雨明け。

空気から重苦しい湿り気が消え、気温こそ高いが真夏のそれだ。
サングラス越しの野山の輪郭が今日ほど際だって見えたことはない。
しばらくは雷などあるというが、夕立の後の涼しさこそ待ち望むもの。

中途半端

入道雲湧いて生駒の影黒き

蒸し暑い一日だった。

晴れるでもなく、かと言って曇でもない、明るい曇日と言おうか。
生駒山の真上にただ一本の入道雲が昇ったが、力無くやがて崩れてしまった。雲の峰とまではいかない日和で、梅雨晴れでもなく梅雨明けの強烈な日射しでもない中途半端な日和だった。

薬味の香

冷奴あぶりの山の水甘く

昼の温泉を浴びての豆腐づくし料理。

なかでも、湯上がりの火照りの残る体には冷や奴がしみ通る。
大峯の洞川温泉は名水で知られるが、名水あれば豆腐あり。
関東では雨降(あぶり)山の大山の豆腐が知られていようか。急な階段のつづく参道の両脇に、豆腐料理をくわせる店が軒を連ねている。大山詣りと称して江戸の男たちは遊山に繰り出し、帰途は江ノ島に立ち寄りお楽しみであった。
昔から有名なところの豆腐はみなしっかりした食感である。箸でさっくり割って口に運べば薬味の香りも加わって爽快感で満たされる。げに夏の食物である。

やわらぐ

紫陽花や隣家隔てる垣を越え

紫陽花も盛りは過ぎつつあるか。

いくぶん色に翳りが応じてきたようである。
だが梅雨といえば紫陽花。この時期の代表花として欠かせない。
剪り花にはもうできないが、庭にとどめて眺めるだけで鬱陶しさがやわらぐのである。

不気味

これでもかと七夕雨の無情かな

梅雨の後半というのは雨被害が出るものだが今年の長雨にも困ったものだ。

熱海に悲惨な災害をもたらしたかと思うと、今度は山陰の島根、鳥取方面が豪雨だと。
前線の居座りが異常なくらい長いのも不気味である。いったいいつになったら前線が遙か北へ消えてくれるやら。

南行

鈍色の雲にアーチの夏燕

青々としてきた植田の空高く、燕が弧を描いている。

曇り空だが雨の気配を感じないのかかなりの高さである。ゆったりとした飛翔は給餌の必要がないのかもしれない。つい先日には何羽ものグループでせわしく飛んでいたので親子だったにちがいないが、今日見たのはその子供たちも独り立ちしたのだろうか。
燕は大阪から大和川を遡ってやってくるのを目撃したが、すると帰途はやはり大和川かもしれない。子供たちは一息先にでかけたか。

熱海

冷房のテレビ流れる山津波

悲惨な災害である。

不明者が100名近くにのぼるという前代未聞の土石流災害である。
起点あたりは山林を切り開き大量の盛り土が施されていたということだが、水の処理など開発許可時のチェックなども検証されなければならないだろう。
安否不明者のすみやかな解明が待たれる。