さながら

破れ傘の骨さながらに枯蓮

蓮根が旬だという。

全国の40%以上を占めるのが茨城県というのは、霞ヶ浦など湿地が多い条件が揃っているからだろうか。そのせいかどうか、関東ではわりによく見た蓮根も当地では値段が高いようである。
その大和盆地の大半はかつては湿地帯だったので、もっと蓮田があってもいいはずなのだが意外に少ない。あったとしても周囲が宅地化などで開発されて、肩身のせまい思いをしているような蓮田もある。そうなると人の手も入らぬのだろうか、破れ蓮から枯れ蓮になった今も放置されたままで、そばを走るダンプカーの舞いあげる砂塵をかぶるだけだったりする。

追)破れ傘(やれがさ)
「破れて骨が折れた傘」という意味で使ったのだが、植物で夏の季語にあるそうである。
そうなると下の方がシンプルでいいかもしれない。

骨折れし傘さながらに枯蓮

季節の移り目

この街の景になりしか冬紅葉

今日も坂ばっかりのわが町を散歩。

大きな坂を越えて立野へ抜ける道の街路樹がいい色に染まっている。
立野への抜け道
大和川に降りてきてあらためて町全体を見上げると、かしこに赤や黄に染まった樹が街を彩っており、その模様が信貴山の頂上まで広がっていて、おりからの風も幾分肌に冷たいので晩秋から初冬への切り替わり時期なんだという思いを強くした。

休漁

川流れするかに見えて鳰かづく

川はすこし増水していた。

そのうえ流れもいつもよりずっと速い。
その流れに翻弄されるかに二羽の鳰がみるみる流されていく。
と、そのうちの一羽がさっと姿を隠す。水に潜ったのである。つづいてもう一羽も。

川で生きているものにとって、この程度の流れで休漁するわけにはいかないのだ。

冬の雷

朝よりの時雨のはての闇夜かな

町の一部が停電しているという。

今日は朝から終日典型的な時雨模様。雨が止んでほんの一瞬日が射したかと思うと、暗い雲が西側に現れまた雨を降らす。こんな繰り返しなのでとうとう一日中散歩する機会を失ってしまった。
おまけに、夕方からは雷がとどろくようになって、その落雷のせいかどうか町の広報スピーカーから停電情報が流れてきた。

また明日も不安定な天気らしいが、夏だけでなく冬になってもまだまだ異常な気象が続きそうな、そんないやな予感さえしてくるのだが考えすぎだろうか。

エコカー

納車日のまずは満タン小春かな

今日は日記がわりの句。

新車の納車日で、エコモードやらナビの使い方やらいろいろ説明を受けたあと、何はともあれガソリン満タンに。ポカポカ陽気でさらに時間があったので、その足でカー用品ショップに行き冬タイヤを注文。今まで乗っていた車に比べサイズが小さくて済むので、タイヤ代は半分以下。
エコカーはこんな面でも懐に優しい。

今年の客

声のして鴨来たるらし夜の川

日が落ちるのが早くなった。

薬をもらいに行って、帰る頃にはとっぷりと暮れている。
堤防に回ってみると闇の中から聞き覚えのある鳴き声が聞こえてきた。ヒドリガモのようである。昨年は一昨年の半分くらいしか来なかった。今年はやっと来たには来たがさらに数が少ないようだ。それとも本格的な渡りはこれからなのだろうか。

伊賀街道

留守電の主は伊賀路か時雨の忌

夕方に気がついたら携帯電話に留守電が入っていた。

個展を無事終えられた澤口先生が、帰国の途につかれる道で「ただ今斑鳩インター付近を走っている」という言づてだった。これから名阪国道を抜け神奈川へ向かわれる途中だと思われる。

名阪国道といえば伊賀街道と言ってもいい道路。伊賀と来れば芭蕉。
全くのこじつけになってしまうが、明日14日は旧暦十月十二日。芭蕉忌である。
雲厚く今にも雨の来そうな空寒い日なので、一日フライングしても許されるかな。