体力温存

妻煮出す麦湯に恙なかりけり

毎日せっせと沸かしては切らしたことはなかった。

冷蔵庫を開ければいつでも麦茶が冷えていて暑さを乗り越えてきたのである。
最近はどうやらスーパーのペットボトルをそのまま冷やしてあるケースが目立ってきた。
湯を沸かしそれをまた冷やすという作業は、ただでさえ暑い厨では体力を消耗するわけで、安く買えるようになった今は年齢に逆らうことはしないほうがいいということである。
ともあれ早め早めの給水で体力消耗を避けたいものである。

レッドピース

冷奴喉の歓喜の候となり

冷や奴に新玉葱のスライスをぶっかける。

そのうえに花鰹がのって。
ささやかながら初夏の食卓の清涼剤である。昼間の暑さで衰えがちな食欲を奮い立たせてくれる。
ご飯は珍しい赤えんどう豆のご飯。蜜豆の、あの豆である。市場には出回ることもなく、種すら簡単には手に入らないが、今回はその来年用の種の分まで頂くことになった。同じ畑で毎年育てておられるが、そのせいか発芽がすこぶるいいそうで、また育ちやすいとも。
来年はグリーンピース、そしてレッドピースの豆ご飯を堪能できそうである。

下校時

夕立や黄帽子黄傘ランドセル

午後3時頃、典型的な夕立があった。

30度を超える快晴なのに急に上空に雨雲がわいたことをレーダーが示していた。
大概は浪速の方から雨雲が流れてくるのだが、今日のにかぎって前触れのない突然の雨である。
こうした降り方は昔はよくあったものだが、昨今はとんとおめにかからない。
ちょうど下校時刻に当たっていて、降り始めは当然誰もが傘を手に持ってないが、遅れて帰ってくる子たちはどれも黄色い傘をさしている。
下校時に降ってなかった子と、降っていた子との差だろうが、頭上の雷を怖れる子は一人もいない。自分を鼓舞するように歌さえ歌う子もいて元気なものだ。
半時間ほど降らせた雨雲は東の方へ去って行ったが、菜園は思ったよりしっとり濡れていて今日の水やりは必要ない状態とみえた。
明日後半は間違いなく雨がくるようなので、午前中が勝負になる。

うたた寝

踏切のなかなか開かぬ薄暑かな

じっとしていてもじりじりするような夏日である。

気温が一気に30度を超え、汗やら水分が絞り出されるような日だ。
若い頃にくらべて喉の渇きを覚える感覚も鈍くなっているようなので、意識して水分をとるようにしているがいつもの量ではとても足りない気がした。
急な暑さに身体がついていけないのか、気がつくといつの間にかうたた寝をしていたようである。

四年目

白服や少女すつかり背伸びて

もう高校生になったようである。

この間まで地元中学の制服だったので、見慣れない制服に替わったことで分かるのである。
お向かいさんには二人の娘さんがいて、通学の朝は必ずお母さんが姿が見えなくなるまで見送っている。だいじに育てられているのだろう、娘さんも振り返っては手を振っている。
そんな微笑ましい光景を見るのも、上の娘さんにつづいて四年目に入った。
お姉さんは薄青い夏服だったが、妹さんの夏の制服は白が基調である。それぞれ異なった学校へ入学したことが見て取れる。
越してきた頃は幼かった娘さんたちが巣立つのもそう遠くない。

看板

夏場所の楽や大関不甲斐なし

終わってみればいつも通り。

横綱を苦しませることもなく不甲斐ない役力士のおかげでつまらない場所となったのは予想通り。
とくに今回は三大関揃って来場所はカド番。看板が泣くとはこのことである。
名古屋での名誉挽回を期待しよう。

(訂正)
高景勝は辛うじて勝ち越したようだが、それでも楽日までもつれた責任は大きい。

直径1糎

菜園のどこも馬鈴薯咲かせゐて

ジャガイモの実
ジャガイモの実

花が終わったジャガイモをよく見た。

直径1センチほどの実がなっている。手にとればトマトの実とまったく変わりない色形だ。
それもそのはず、ジャガイモはれっきとした茄子科、トマトやピーマンと同じ仲間である。
話には聞いていたが実際に芽にするのは初めてである。菜園仲間も珍しそうにのぞき込んでいた。
花が終わればあと一か月ほどで収穫となる。いまのところ順調である。