種の滅亡

ともづれもなくて木の実を拾ふのみ

山の木の実が不作なのだろうか。

日本海側の各県に熊が出没しては駆除されるという何とも痛ましいニュースが届く。
人間によって自然が破壊されてゆくスピードが年追うごとに増しているようである。
つれて種の滅亡もすすみ、北極の熊などは今世紀中には姿を消すとも聞くと暗然たる気分に覆われる。
孫の世代の将来を憂う。

国産

食そそる島の檸檬の隠し味

やっぱり輸入のレモンはだめだ。

檸檬は国産に限る。
香りはもちろんだがテーストだってまるで違う。
いい檸檬とは囓っても酸っぱくないのだから。
ベランダで育てている檸檬が初めて生った。それも4個もだ。とりあえずの一個をもいで食卓の料理に使われたようだ。口に運ぶと上品な香りがかすかに鼻をついて俺が俺がのいやらしさがない。
跣足ではとても歩けない熱々のベランダでよくぞここまで育ったものだと労いながら、いつもと変わらないメニューがひと味違った物二感じた。
来年は鉢増して養生してやらねばと思う。

今年米

籾殻を嗅げば匂ふよヒノヒカリ

隣の香芝市まで籾殻をもらい受けに行ってきた。

「上げます」というサイトでただでいくらでももってけという奇特な方を見つけたのでさっそく伺ったのである。
ホームセンターへ行けばいくらもしない値段で売っているが、どこのものとも、どんなものとも分からないのを庭に蒔くのはためらわれるので、地元のほうがまだ安心ではないかと思ったのだ。
ことわりに「うんか」はありませんとあったので、虫がついてないよという当たり前のことかと思ったが、現地に着いて例の何とかウンカの害がないやつだよと、わざわざことわりを入れた物だったのである。
さすがに新籾とあって香りが高い。ヒノヒカリだよというだけあって、嗅げばヒノヒカリの匂いが立ってくるように感じる。
来年うまく育てば鉢のブルーベリーを庭におろそうと計画していて、土壌改良、空気ふかふかの土を今から準備しようと思う。
これがうまく生け垣として育ってくれればなおいいのだが。

濃霧

濃き霧をやがて透かして遅き日を

予報は晴れなのにずいぶん暗い。

厚い霧が盆地全体を覆っているのだが、まるで曇天のように太陽も見えない。
9時半頃になってようやく、濃霧を透かして高い日が上るのを発見する。ようやく霧が晴れようとしているのだった。
午後は嘘のように快晴の空が広がって心地いい秋日和となった。

共生

緑てふ土の肥やしの麦を蒔く

緑肥のライ麦を蒔いてみる。

土に深く根を張る麦の特性を利用して自然深耕させるのが一義の目的だが、稲藁の代替として実の生る前に刈り取りマルチ材とするのも狙いである。
通常の栽培では雑草防止と地温上昇のために黒いビニールマルチを施すのが従来農法のやり方で、この方法では毎回耕して、堆肥をやり、肥料もやりして土の疲れをカバーしなければならない。そんな面倒なことなどとてもやれなくて長続きしない原因だったので、ある程度まで雑草をよしとする方法を試みているわけである。
言ってみれば雑草との共生であるが、果たしてうまくいくかどうか、来年はチャレンジの年でもある。

マイブーム

昃ればすずき色なる鱗雲

いよいよ鵙の高鳴きのシーズンである。

あの特徴的な鋭い声の方を見やれば、大きな鱗雲が南の方から押し寄せてくる。
日を隠すかに雲が多いので、その鈍さはまるでスズキの肌を思い出させる渋い光りを放っている。
鉢の植え替え作業があるので雨がようやく上がって晴れるのを待っていたが、午前中はどんよりとしていて肌寒いので様子を見ていて午後になってようやく望んだ空になったのである。
今日のは軽い鉢だが、それでも3時間くらい屈んで熱中していたら腰に来る。
あとは楓の重い鉢が二つ残っていて、これは落葉を待って植え替える予定だ。
なおざりにしてた庭のものを本腰を上げて整備しようと言うのであるが、土に親しむのもコロナ時代のマイブームと言えようか。

猫の冬仕度

秋の花約をたがへず庭の隅

庭の草が雨に震えている。

聞けば12月の気温だという。
たまらずフリースのジャケットを引っ張り出してきて羽織るが、それでも膝から冷えてきてしまう。
うっかりうたた寝などしたら風邪を引きかねないので、用心に越したことはない一日である。
猫たちも同様とみえ、昼寝もできずうろうろするばかりである。冬用のベッドを出してやったがまだ落ち着かぬようである。人も猫もまだ冬仕度が間に合わないのである。