青春のきっぷ行き過ぐ花南天
18歳の目に果たして南天の花が止まるだろうか。
桜井の聖林寺は国宝・十一面観音立像で知られているが、意外に知られてないのは南天のお寺であることだ。あちこちに南天が植えられていて、晩秋には紅葉とともに真っ赤に染まった境内を楽しむことができる。聖林寺に行くなら絶対に晩秋がお奬めである。
先日キヨノリ君ご夫妻と一緒に観音さんを拝して同寺を辞すとき高校生の団体と行き交った。こんな小さな寺にもスケジュールを割いて東京から修学旅行生がやってくることにも驚いたが、同時にこの寺をコースに組み込んだ関係者の見識もまた好ましかった。
ただ、こんな小さな寺で一度にたくさんの生徒がゆっくり拝観することは大変で、おまけに夕方に近い時刻だったので、おそらく国宝を見るだけで終了してしまったにちがいない。
卒業したらぜひもう一度ゆっくり訪れてもらいたいものだと思う。
今は地味な南天の花の季節、青春真っ只中の若人に気づいてもらえるだろうか。