大展望

三山を浮かべ大和の棚霞

今日は大神神社界隈の吟行。

朝は久しぶりに零度を割る寒さ。まさに「冴返る」がふさわしい日和かと思われた。
たしかに、その通りに気温もあまり上がらず二の鳥居をくぐって鬱蒼とした参道に入ると余寒が厳しい。
ただ、境内をぬけて国見の丘にのぼる頃にはいい具合に体も温まり、馬酔木の鈴、笹鳴きに初音や囀り、紅白の梅、犬ふぐり、至る所に句材だらけ。展望台に立つと今度は大和平野の大展望。金剛・葛城の裾は遠霞で稜線だけが浮いて見える。二上などは辛うじて双峰が望めるほどに霞だっている。手前の大和三山もぼんやり浮かんでいるように見える。

はしり

とびとびに土筆ン坊の頭かな
土筆生ゆ護岸工事を免れて

土筆が見られるようになった。

大和川の土手に毎年土筆が見られる箇所があって、散歩の時気にかけていたのだが、数日前何本かの土筆が顔を出していた。その後さらに増えたかなと今日また行ってみると、案に反して数はふえてないようだ。
土筆はまだ走りということだろうか。

くぐる

道覆ふ匂ひの梅をくぐりけり

畑に植えた梅が手入れもされず伸び放題である。

それが道路の上にかぶさるように太い枝をさしかけていて、その下を通ると強い香りがした。

変わり目

腹据えて決めねばならず二月尽

明日からは年度末の月。

仕事を持つ人にとっては決算が、持たぬ人も新年度を期してあらたな変化に臨もうとしているかもしれない。また、冬が終わって春になったことは感覚的に体が知覚していようし、自ずと心も次のステージに向かっているであろう。

とりわけ人生の大きな岐路にたっている人にとっては、この3月は生涯忘れることのできないものになるに違いない。

淡雪

ひとしきり句座のざわめき春の雪

今日は定例の句会。

奈良盆地より幾分気温が低い場所なので、盆地を出たときはまさか雪が降るとは思いもかけなかったが、春時雨が雪模様となったようである。

誰かが窓を見て大きな声をあげると、外は春特有の大きな泡雪であった。

枝垂れ梅

紅梅の滝なる枝のふふみかな

庭の枝垂れ桜が昨日から咲き始めた。

今日は雨なので何度か窓のうちから眺めては、開花した数を数えたり、家人に様子を伝えたり。10年ほど前に曽我梅林で購入した苗が、今では太い幹になるまで生長して剪定だけでも大変である。花梅だけど小梅をつける実梅でもあり、花のつぎは実もまた楽しみである。

今日の開花数は10個だった。

星を散りばめ

弁当をどこに広げん犬ふぐり

梅見に来ていたグループがシートを広げる場所を探している。

梅園の足元はまるで星を散りばめたように犬ふぐりの小さな花が咲いていて、腰をおろすどころか足を踏み入れる所さえ見つけるのが難しい。
カメラを手にしていても足元が気になって、なかなか思うとおりのアングルが得られないのももどかしい。

もうずいぶん前から気づいていたが犬ふぐりはとうに咲いていて、これからしばらくの間ピークが続く。