一陣の来たれば落つる竹の皮
一喝もせざるに脱ぎし竹の皮
竹の皮脱いで今より初冠
成長に従ってその皮は下の方から抜け落ちて行く。つまり、抜け落ちた節の部分はもう保護する必要がないというわけだ。
この竹の皮はかつてはおむすび弁当や精肉店の包装などに使われたもので、今では実生活ではほとんど使われるのを見なくなったが、あの清涼感というか清潔感は今となっては大変懐かしい。

めざせ5000句。1年365句として15年。。。
作務僧の姉さんかぶり花菖蒲
作務衣を着て姉さんかぶり。
若いので学僧なのだろう。同じく唐招提寺の若い職員に混じって、花菖蒲の束を剪り整えている。仏様に供える供華の準備をしているようだ。
おりしも翌日から鑑真和上の忌に因んだ開山忌舎利会が始まろうという日の光景であった。
掲句もボツの句。元の句は先日の、
作務僧の供華に剪りつむ花菖蒲
「剪りつむ」では味消しか。「整ふ」のほうがよかったかな。
清域に唸るエンジン草刈らる
俳句会で主宰選ボツになった句。
今日主宰選の結果が葉書で届いた。
実際の投句は、
エンジンの響く聖域草刈らる
鑑真御廟の静謐な空気を破って、草刈り機のエンジン音が鳴り響く。そのギャップを表現したかったのだが。
朱鳥居くぐりて後の五月闇
「五月闇」とは雨期の月のない夜や薄暗い昼間をいう。
日常で使われることはなく、俳句の世界だけで生きながらえている季語かもしれない。
ある句会の兼題で今日はその習作である。
深い森におおわれた神社、お稲荷さんのような朱い鳥居とその奥には深い緑に包まれた闇が広がる。そんな根津神社近くの光景をイメージで作ったものだ。
月夜見宮(つきよみ)の神の寝ませる五月闇
前覇者の敗るるニュース夏の朝
いよいよ明日は日本戦。
世界ランクでいえばブロック内で一番不利な位置にあるが、オランダvsスペイン戦の意外な展開でも明らかなように、何が起きるかやってみなければ分からないというところに望みがある。
休日の朝9時の試合開始とあって、多くの人がテレビの前に釘付けになるだろうが、代表選手には「意外な展開」を実現して欲しいと思う。
木下闇出で来る歩みのすずろなる
夏の木陰は心地いい。
鑑真廟は唐招提寺の奥の奥にあり、深い木立に覆われている。
しばらくその中にいると心中までもリラックスするのか、木陰出てくる人の歩みはどこか悠然としていて、表情も大変豊かである。
うごくもの蓮の巻葉のなす影に
蛙がいるのだろうか。
蓮はもう浮葉(春の季語)の時期を過ぎ、巻葉をつけた茎が水面上にニョキニョキ伸びてきて、なかにはもう葉が開いているものもある。水面上に顔を出した葉がつくるわずかな葉陰にも憩いを求める生き物がいたりして、蓮池はもうすっかり夏の粧いである。