秋の潮

海峡の風を捉えて秋の鳶

入舟の遅々と進まず秋の潮

船足を押しとどめたり秋の潮

海峡に留まる船なし秋の潮

鳴門海峡

潮にもまれた鯛を食おうと明石、鳴門大橋を渡った。

15年ものあいだどこへ行くにも足として頑張ってくれたスカGターボを下取りに、燃費のよい大衆車に買い換えることになったので、愛車への感謝をこめて思い出づくりしようということになり、今まで行ったことのない県の一つ、徳島の鳴門までの日帰りドライブとなった。
猫ちゃんたちがいなければもっと遠出ができるのだが、それでも天然鯛の刺身定食はさすがにうまく片道150キロ程度でも十分満足できる旅であった。

旅先でうまいものを食うには地元の人がよく行く店に限る。今日も道行く人に尋ねて魚のうまい店を教えてもらった。あとはナビで確かめるわけだけど、こういう検索は15年も前のナビよりスマホのグーグルマップで調べたほうがよっぽど早い。「鳴門 あらし」と地名と店名を検索しただけで瞬時に候補を見つけてくれるのはさすがだ。

鯛とともに今日の旅で印象に残ったのが淡路には鳶が多いことだった。高速道の先々で鳶が群れで上昇気流にのって舞い上がっていたりする光景は初めて見るものだった。淡路SAや鳴門海峡の展望台に立っていても、海峡をぬける風をうまくとらえて頭のうえをゆったり弧を描いているのを見ると心が和むものだ。

また、鳴門とくれば渦潮だが、観潮船に乗ってみる時間がなくとも展望台からの眺めで大阪湾側に大きく流れる引き潮であることが十分知れるし、それに小さな釣り船が引き潮に逆らって瀬戸内海に入ろうとするもその歩みがあまりに遅いので潮の強さを目の当たりにすることもできた。(写真を拡大して見ると潮の流れがよく分かります)

生食できる

団栗の転がる果てに片寄する

お祭りのあった八幡さんの裏手は団栗が降るほど落ちる。

かなりの急坂なのでどんどん転がってゆくが、一様に山側に吹きたまるように片寄せられていくのが面白い。
昔、団栗をくうと「どもる」とか「おしになる」(いずれも差別用語で使ってはならないとされているが)と言われたものだが、この歳になって初めて団栗にはアク抜きしないで食えるものがあることを知った。そう言えば、昨今里に出没する熊が多いが、餌となる団栗が山で不作だから降りてくるんだとかよく聞くようになった。熊だってアク抜きしないで食える団栗のあることはいいことに違いないが、きっと生食できるものとそうでないものを見分ける能力があるんだろうな。

土地勘

周辺を交通麻痺にダリア園

もう盛りは過ぎたかもしれないが、馬見丘陵のダリア園は見事だ。

シーズンの土曜、日曜などは「花のフェスティバル」を開催していることもあって大勢のひとが押し寄せ、うっかり近所を通ろうものなら駐車場待ちの車が周辺の道路を塞いで渋滞にはまってしまう。
土地勘の一種だろうが、公道を走るうえでこうしたノウハウといったものは、慣れない土地ゆえにゼロから積み上げることになり、短時間ではなかなか身につきそうもない。

山車を曳く

山車を曳く坂の多きや秋祭

坂を曳く山車の歩みや秋祭

龍田大社秋祭り

収穫が一段落し、各地で秋の例大祭が行われる頃。

近所では八幡さんから太鼓台の練りが朝から町中を練っている。また一駅隣にある龍田大社では各地区から太鼓台が引き出され、坂道の多い町を登ったり下ったりしながら曳いてゆく。時折小雨が降る中、久しぶりに一眼カメラを持ちだしてみた。
太鼓台
山車を廻す
山車は地区の特徴があって、なかには「布団太鼓」というユニークなものもある。どの山車にもいなせな格好をさせた小さな子供に曳かせたり、山車のうえから子供がマイクで囃しているのもある。若者が多い山車、ベテランが多い山車。それぞれ地区の特徴がよく出てようだ。
太鼓台の山車

我々のような新住民にとって当事者になるというのは難しい行事だが、こうやって見物しているだけで華やかな気分になるものだ。

貧脚

うそ寒や正常しめす血圧値

一月分の薬をもらいに、月一回の医者通い。

血圧は自分でも驚くほど安定している。70-120というのは、もう何十年ぶりなんだろうか、とんと記憶にもないくらいの低位安定値である。「激しい運動でも何でも好きなことをして体を動かしてください」と言われて、午後からまた傾斜のきつい道の散歩に出かけた。息はあがらなくなったが足の方がよっぽど弱っている。急坂散歩は毎日続けたほうがいいかもしれない。

煌煌

いま何を恐れているや後の月

今日は後の月、旧暦9月13日、十三十六夜である。

昼間はずっと曇っていたのに、今外へ出てみたらやや暈がかかってはいるが見事な月だ。
このような明るい月夜のもとでは、すべてが小さい、小さい。人に隠れてこそこそしたり、人の横顔をうたがったり、そんな人生とは永遠におさらばしたいものだ。

猫の寝床

空き箱を猫ちぐらとす薄寒

急に冷えてきましたね。

人間には厚着だの、暖房だの、布団に毛布だの、いろいろ防寒対策が打てますが、人間より寒がりだとされてる猫たちにもそろそろ寒さ対策を考えてやらなければならい時が来ました。
ということで、雪国の「猫ちぐら」(*)ならぬ空き箱の寝床をためしに作ってみました。まず、段ボールの一面に出入り口となる分をくり抜きます。箱のかどはガムテープでしっかり止めます。底には百円ショップで買ってきた小さな座布団を敷いて完成です。
早速試してみたら、一番好奇心が強い子が真っ先に入って寝心地を試しているようでした。好評ならさらに人数ならぬ猫数分を作ってみましょう。

(*)猫ちぐら
新潟県の雪深い集落などで昔から作られてきた、藁で編み上げた猫のためのベッドです。