登校の声

朝露や制服似合う登校かな

ここ数日は高気圧が覆っているせいか、毎朝車の屋根・ボンネットには露が降りてびっしょりだ。

いつものように起きて、いつもよりぼおーっとしていると元気な子供たちの声でようやく頭が覚醒し始める。集団登校の時間だ。黄色い帽子に茶色の制服、空気が閉まっているせいか、みんなちゃんと身に着けている。

母の回向をお願いしたお寺さんが三輪山と密接に関係しているのを今朝になってインターネットで初めて知った。両親の宗旨は曹洞宗なのでたまたま「三輪山平等寺」さんにお世話になったのだが、境内があの三輪山の山中にあるというからびっくりしてしまった。
家の地鎮祭にお世話になった神さんといい、今回のお寺さんといい、当地の寺社の縁起には古い歴史があって当たり前なのだが、それにしても一気に神代や古代王朝に戻るというのはさすがというべきか。少し落ち着いたらお参りすることにして、またいろいろ勉強してみよう。

渇き

青みかん喪主の勤めを果たし終へ

初七日法要まで一気に済ませる長丁場。

無事済ませたら急に喉の渇きを覚え、盛ったかごの中から青みかんを次々取り出しては口に放り込んでいた。初期のみかんの淡白なみずみずしさが喉に心地よい。

真一文字

菊の香や遺影の母は微笑みり

参観日の母は誰よりも美しかったのが自慢だった。

死化粧を施してもらって久しぶりに紅みがさした頬を見ながら小学生時代の一コマを思い出した。ただ、真一文字に結んだ唇はその後の厳しい人生の証であるかのようであり、容易に人を寄せ付けない意志の強さを示しているようでもあるのに驚かされた。
享年89歳。

いつの間に

看る日々や桜紅葉の時を過ぎ

さらに症状が悪化して介護衛生用品をまたたく間に消費するので急遽買い出しに出る。

地元の工業高校前を通ると、桜は紅葉の時季を通り過ぎてその葉の半分以上を落としていた。

睡魔

秋の雨今日新しき処方箋

今日から鎮痛・麻酔効果が期待できる薬種が増えた。

痛みや絶え間ない吐き気に襲われ眠れないのだろう、点滴中であっても一日中家の中をはいずり、徘徊するので片時も目が離せない日々が続いている。
日々増す痛みにたいして可能な限り軽減しながら、体力が低下するにしたがい徐々に老衰の域に導き静かな最期を迎えさせる、そんな治療方針のもと医師や看護師、介護士さんたちのお世話になっている。

昨夜の睡眠時間は3時間、さすがに夕食を終えたら睡魔がかぶさるように降りてきてこの稿を仕上げるのが精一杯。たくさんコメントをいただいているが今日のところは失礼させていただきます。

夕方からまとまった雨が降っている。そういえば南にはまた台風が来ているとか。

がえんぜない

身に入むやいくばくもなき日思へば

今日は一変して食欲が旺盛でご飯を食べたいと言う。

食べたら激痛に苦しむのを分かっていながら「少しならいいか」と用意したが、やはり七転八倒の苦しみをただ見ているしかなくて後悔の念がたつ。
理屈が通じない病人というのは、病気に立ち向かう気構えを求めるのは不可能なので一緒に戦うことすらできないもどかしさと、治療法の選択肢までもが狭められるもどかしさがある。

夕食はなだめすかして諦めさせたものの、果たして今夜はおとなしく寝てくれるかどうか。