沼田場より参道闊歩の牡鹿かな
全身に泥をつけた牡鹿が観光客でごったがやす参道に出てきた。
南大門と大仏殿の中間に小川が流れていて、その橋の下にいい具合の沼田場があるのだ。
小川と入っても、ちょっとした渓のようになっていて水場もあるので、夏にはよく水浴びをしたり、涼をとったり、鹿にとっては格好の休み場のようだ。
その日通りかかったら威嚇するような声が聞こえたので、下をのぞくと今しも沼田場に近づこうとする牝鹿に歯を剥いている牡鹿がいる。彼は沼田場をから立ち上がると追いかけるようにして相手に向かって行き、そのまま参道に出てきた。
煎餅などやってきゃあきゃはしゃいでいる観光客もこれにはびっくり。
何しろ首から腹から尻まで泥が滴たるほどの濡れようだから、近づかれたら大変と凍り付くようにして遠巻きに見ている。
恒例の角切りの時期は終わったばかりで雄のシンボルこそないが、野性味をのぞかせるには十分なシーンであった。