滝汗

帰ろかな腰を伸ばせばかなかなかな

潮時と腰を伸ばしたら蜩の声が聞こえてきた。

まるで帰れ、帰れと言わんばかりである。
ただでさえ暑いのに、秋に向けて菜園もあれこれ忙しくなってきて流れる汗も半端じゃない。夕方の一時間ほどが勝負時でおそらく集中していたのであろう。
蜩はとうに鳴いていたのかもしれないが聞こえなかったようだ。あるいは、もしかするとほんとうにそれが蜩の第一声かもしれないが、何ともいいタイミングであることよ。
汗まみれの体に帰りの原付の風がすうーっと冷やしてくれる。降りたらまた汗が流れるのであるが。

涼しい声

初秋や銀の機体の夕映えて

天気は必ずしも佳い日ではなかったが夕焼けがきれいだった。

大阪空港行きだと思うが、銀色の機体がまるで赤蜻蛉のように映えて山の端に落ちてゆく。
ただそれだけのことだが、昨日まで眺めていた夕空とはちがう空気を感じることができた。
おそらく気分のなせる技だから、どこがどう違うのか説明は無理なのだが、少なくとも夕はもう秋の気配なのである。
おりしも蜩も鳴き始めたようで、涼しそうな声に帰宅をうながされた。

二ヶ月

かくれなき伊賀のお城や稲の中

先週は気づかなかった。

ナビに夢中になっていたらしい。
今日は余裕を持ってハンドルを握っていたら、稲がもうみごとに穂を垂れている。
大和の盆地はまだ穂すら出てないというのに、二ヶ月も早いとみえて同じ盆地ながら見事なものである。
台風が去っても蒸し暑い日が続くが、今日ははっきりとした秋を見たような気がする。

逸れる

衛星の目にて眺める野分かな

朝早い時分はたしかに風が強かった。

ときおり突風など吹くとドアも開けられないほどだったが、台風の眼が近づくにつれ雨もやさしく風もおとなしくなった。当初家の真上を過ぎる予想よりはずっと西に寄ったので、台風の右半分のほうが風雨が強いと言われるので相当の覚悟をしたが拍子抜けである。
たしかにこの盆地は南の山と西の山に守られている。人工衛星の雨雲の写真を凝視しているのだが、ずっとエアポケット状態のままである。畝間が水浸しになるほど雨が欲しいと願ったのに肩すかしとは落胆である。だが、稲の花が咲くのも間近というこの時期の農家さんにとっては胸をなで下ろしておられることだろう。
昔から台風の動きとは下から仰ぎ見るものであったはずだが、いつの間にか衛星の高さからその行方を追いかけるという奇妙な昨今である。

台風前夜

LED灯る充電台風来

台風が直撃しそうだ。

進路はまさしくわが家を指している。
影響のまだ出てない今日のうちにと庭のあれこれを適当に片付ける。
夕方頃から雨が降り始めるが、風はまだない。
明日の夜明けごろには相当の雨風が窓を叩きつけることになるだろう。

来年もね

雨欲りて茗荷咲きけり摘みにけり

白い花を見つけるまで気づかない。

鬱蒼とした茗荷の藪は蚊の巣窟で足が遠のくものであるが、さすがに花が咲けば摘まなければと思う。
毎日少しずつ咲くのではなく、一斉に咲く。あっという間に両手で足らぬほどの量になるので、毎年茗荷の酢漬けになるのだが、いったん採るとしばらく顔を出さない。また三週間ほどすると同じ量だけ採れるのでこれも酢漬け、あるいは薬味として重宝している。
今年は二回採ったあと雨がまったく降らず、ときどきのぞくのだが日陰が好きな茗荷はさすがにぐったりしてもう花は咲かないかもしれない。
それにしても今年は毎日のように昼は冷素麺、蕎麦など冷たいものばかり食べているので、紫蘇と茗荷には大変お世話になった。また来年もよろしくね。

幕下並み

伊賀盆地奈良に劣らず秋暑し

伊賀盆地での気温計は39度を示した。

戻ってきても39度。
途中の山地は標高500メートルほどで33度に下がるのであるが。
この気温計は気象台より2度ほど高い値を示すので、全国レベルで言えば37度。ニュースになっても全くおかしくない数値だが、これをさらに上回る地もあるようで、相撲で言えば幕下並み。
残暑とはいえ、この暑さはいったいいつまで続くのだろうか。