負担

車検受く代車の屋根の露しとど

高気圧がおおう日が続く。

目立って朝露がしっかり降りるようになった。
愛車を車検に出して代車に軽自動車を出してもらったが、屋根もボンネットもフロントウィンドウも露しとどの朝である。
露を払おうにもなれないスウィッチの位置などにとまどうことがある。
車検は一日で終わったが、請求書をみてその高さには毎度ためいきがでてしまう。どこへ行くにも車が必須なので、運転できるうちは出放すことなどできない。年金生活者にとっては車検や保険や税金の負担など、あらためて日本の車の維持費に泣かされているようにしか思えない。

アレルギー

晴多き日に妻生れし文化の日

明治節の日に生まれたので明子。

そういう由来らしい。
実に明快である。
今日文化の日は気象上では特異日と言って晴れの確率が七割だと聞く。言われてみればなるほど今年も晴れた。
そう言っていつも胸張る誕生日だが、今年はトーンが少々低い。
ここ一年アレルギーで大好きな鮨が食べられないうえに、後期高齢者の仲間入りが気にくわないようだ。
しばらく鮨屋に行けてない私も辛いのだが。

豊の秋

カブで来て豆稲架組める日和かな

刈り終えた田の片付けは午前に済ませ、午後からは豆稲架を組む。

畔豆は順調に育ったようで、葉も茎もいい色に枯れつつある。
今週、明日の雨が止んで田が乾いてきたらいよいよ豆の採り入れであろうか。
豆稲架の杭は稲木用の流用とみえて太くてしっかりしている。
ご近所なのか、昼休みはホンダカブで家に帰られ、午後からはまたカブでご出勤である。
少々腰が曲がっているように見受けられるが、いかにもお百姓らしく頑健な体つきをしておられる。
他にもいくつかの田があるようで、今が一年でも一番忙しくかつ達成感を味わえるときなのである。
作付けは上々と聞いた。

黒焦げ

田仕舞の煙にまかれ秋深し

何本も煙がたっている。

おおむね稲刈りも済んだあちこちの畔や刈田がくすぶっていて、その一部が風に流れて道路まで漂っている。そのなかを抜ければ畔焼特有の匂いに包まれるとともに、目にも強い刺激がある。
コンバインで刈りとった田には稲藁の切りくずが散乱しているので、これらを燃やしているようである。
明日の刈田はきっと鮮やかに黒焦げとなった姿となるに違いない。

こまめ

肌寒し竹騒おこす沢の風

風が冷たい日だった。

さすがに午後四時をまわると冷えが募ってきて、もう一枚羽織りたくなるのは晩秋の趣を濃くしてきたということであろう。
あれだけ暑かった秋も十月も末近くとなれば二十度を超えたとしてもせいぜい一二度でくらいで、シャツ一枚で一日を過ごすことはできなくなっている。
寒暖差が大きいこの季節、とくに昼間の温かさで汗をかいたら冷えを呼ばないよう注意を要する。着るものの調整をこまめにしなければならない季節とも言える。

弛緩

秋澄むや音なく下る救急車

いつもの甲高い音が聞こえない。

回転灯だけが家々を照らしながら走り去ってゆく。救急患者をおろして基地に帰る途中なんだろうか。少なくても先を急ぐ状況にはないようである。
救急車が通るといつも緊張感があたりに漂うのであるが、このように音なく滑るように消えると、澄みわたって張りつめたような空気を緩和する効果があるようである。

蒸発

一片の雲かき消えて天高し
かき消ゆるもののひとつや秋の雲

西へ向かって飛ぶ三機の機影。

機体の航空会社ロゴが肉眼でもよく見える高度からして伊丹方面へ向かっているようである。
あとは小さな雲一片だけが視野に入るだけの青空。文字通りの秋空である。
気温も上がって日中の散歩は快適である。
その小さな雲は見上げているあいだにもどんどん存在が薄くなってゆく。やがてシャボン玉が割れるようにあっという間に消えてしまった。まさしく雲が蒸発したのである。

西の方から高く飛んできて東へ向かう機にも飛行機雲はもちろん出ない。明日も好天気のようである。