耳遠き人におらぶる刈田道
御年卒寿、くらいと思われる。
暑い夏も毎日のように鍬を振るっておられる。
歳にしては高い方に属する御大はいたって健康体であられる。ただ難は耳が少々遠いこと。
コロナ全盛の頃は大声で話しかけることははばかられたが、いまでは近くまで寄って雑談もしたりできるようになった。
今日は昔からのお馴染みさんとおぼしき人が遠くから声をかける。が、本人には届かない。
そこで、杖を頼らなければ足許が怪しいところを畔沿いに近づいてようやく気づいてもらったようである。
旧交をあたためることしばらく。掘りたてのサツモイモの幾ばくかを土産にお戻りになった。
コロナなどもあって近所でもなかなか出会えない日が続くが、こうして長いおつきあいの仲の会話など聞いているとほんわかとした気分が漂っていいものである。