穴施行所帯持ったと風に聞き
十分に行き渡るべく寒施行
ボスばかり独り占めして寒施行
寒施行主の正体見届けり
寒施行である。
寒に入って狐や狸など小動物たちの餌が乏しくなった時分、巣穴と見立てたさきに食物を施すことをいう。
今年は所帯を持ってもしかしたら子供もいるかもしれないので、いつもよりちょっと多めに用意したのである。
めざせ5000句。1年365句として15年。。。
穴施行所帯持ったと風に聞き
十分に行き渡るべく寒施行
ボスばかり独り占めして寒施行
寒施行主の正体見届けり
寒施行である。
寒に入って狐や狸など小動物たちの餌が乏しくなった時分、巣穴と見立てたさきに食物を施すことをいう。
今年は所帯を持ってもしかしたら子供もいるかもしれないので、いつもよりちょっと多めに用意したのである。
晴るる日の一ト日続かぬ四温かな
ここ数日暖かい。
ただ、空がすかっと晴れた日は一日とてなく気が重くなるような天気だ。洗濯物や布団を思い切って干せない家人はこの天気を恨めしく思っている。
だから寒さが去年よりずっと続いているような気がしていたが、やっぱり1月、2月は暖冬傾向なのだそうだ。
そう言われてみれば、今年に入って最低気温が零度を大きく下回る朝はないし、今日など大寒だから連日零下3度前後の日が続いてもおかしくない時分と言うのに。
仏頭は飛鳥のものと鐘冴ゆる
飛鳥で大きな遺構が発見されたというニュースが15日に流れた。
舒明天皇の墓ではないかという説や、蝦夷・入鹿親子の墓だとも言われて古代史ファンにとってはまたまた大ニュースである。
かくいう私めも古代史への興味はつきることがない。というわけで、さっそく今日の現地説明会に行ってきた。まず驚いたのは人の波。今まで数回現地説明会に足を運んだことがあるが、今日くらい見学者の多い日はなかった。寒のまっただ中と言うのにである。
辛うじて駐車スペースは確保したものの、現地では行列が百メートルほどできて100人ずつくらいの入れ替え制。日曜日だから多いのかと思ったが、意外に若い人は少なく大半が爺婆である。これでは平日に開かれても同じように混雑するのではないかと思えるほどだ。
盛況は会場だけではなく向かいのコンビニ店も。なにしろ爺婆が揃いも揃って弁当やお茶を買い、最新の珈琲ベンダーマシンに手間取りながらも押すな押すなの大盛況。できて間もない飛鳥観光ルート唯一のコンビニ店は大当たりだ。関西ではまだ少ない7-11も勘所はしっかり押さえてるようだ。
見学のあとは甘樫丘へ。上へ登れば登るほど、飛鳥寺の鐘がピンとはった空気をふるわすように乾いた音が聞こえてきた。
墳丘に伸びるともなく冬の草
冬の草伸びるともなく生いにけり
下萌かと思ったが、冬の草であった。
引き飛ばされないで地面に踏ん張っている枯れ草の間から、しっかり顔を出している。おそらくそこからさらに背を伸ばすのではなく、そのままの姿で冬を越すのであろう。
寒のど真ん中にいても、万物枯れているのではない。冬には冬の命があるのだ。
万両や身の丈にそふ房の数
四年目の万両がようやく実をつけた。
玄関の一画に植えた万両2本のうち一本は根付くことができなかったが、残った苗が昨年新芽をすくすく伸ばすとともに、古い枝に花をいっぱい咲かせた。秋には青い実が徐々に赤にそまり、年末には立派な深紅の房を葉の下から垂らしている。
玄関ドアをあけると冷たい空気に身が震えるようだが、目に飛び込む朱い実が気合いを入れてくれるような気がする。
黄味割いて醤油乗せたり寒卵
この時期の卵には滋養があるという。
日本人にとって昔から卵は貴重な栄養源で、生のものをいただくことが命をいただくことだとされてきた。
ところが、今でこそ卵は物価の優等生と言われて1個10円足らずで得られるが、我々世代にとっては農家でない限り卵は滅多に手に入らない高価なものであった。記憶では運動会とか遠足の弁当でしかお目にかかれなかったような気がする。
かといって、手軽に手に入るようになった今でも、熱々のご飯にかける卵ご飯というのは最近はあまり食わないようだ。なぜなら、卵かけご飯というのは味噌汁といっしょにいただく朝のものであるという感覚から抜け出せないので、パンと珈琲が定着した朝食のテーブルには卵かけご飯の出番がないからである。
もし食べるとすれば、それは温泉旅館などで出される朝食くらいであろう。しかも、不思議なことに普段食わない朝の和食も旅先ではすこぶる量がいただける。卵の他にうまい魚の干物があればそれはまた最高である。