雲湧いて平群墨絵の梅雨の闇
久しぶりにデンタルクリニック。
歯石除去が目的だから、この二ヶ月間中断していた治療もとくに急ぐ必要はない。
小耳にはさんだ話だと、いままで歯科で新コロナウィルスに感染したというケースはないそうである。だから杞憂で終わったわけだけど、やはり密な状態で治療を受けるわけだから当座は注意しなければならないだろう。
昼頃雨が小休止して平群谷の周りの山々に雲がわいてきた。雲も低く垂れ込めたままで、谷全体が墨色に染まって幽玄の世界を醸し出した。
めざせ5000句。1年365句として15年。。。
雲湧いて平群墨絵の梅雨の闇
久しぶりにデンタルクリニック。
歯石除去が目的だから、この二ヶ月間中断していた治療もとくに急ぐ必要はない。
小耳にはさんだ話だと、いままで歯科で新コロナウィルスに感染したというケースはないそうである。だから杞憂で終わったわけだけど、やはり密な状態で治療を受けるわけだから当座は注意しなければならないだろう。
昼頃雨が小休止して平群谷の周りの山々に雲がわいてきた。雲も低く垂れ込めたままで、谷全体が墨色に染まって幽玄の世界を醸し出した。
鉛筆のこよなく削れ梅雨深し
梅雨湿りは困りものだが、いいこともある。
たとえば鉛筆。削るにもいつもよりスムーズに刃が通り思った通りの形に仕上げやすい。
ふだんは2Bを常用しているのだが、梅雨時に限りHBという比較的固い芯でもやわらかに書ける気がする。
今はがりがりと器械で削る時代だが、鉛筆はあの肥後で削るから愛着が生まれるのだと今でも思っている。
数独を解くには鉛筆が一番適している。柔らかい芯だからすぐに頭がまんまるになってしまうが、コロコロ回しながら使えば数字くらい何の問題もない。
南天の花を鬼門の平屋かな
今はもうぽろぽろこぼれる頃。
米粒ほどの花だが、散った花弁はさらに小さく軽いので風に吹かれては道端にまでひろがってゆく。
放っておいてもすぐ朽ちるのでそのままでもいいのだが、やはり箒をかけておくのが住宅地のマナーというものだ。
わが家でも花が散った先に芽を出したのがいて、そいつを鉢に移し替えたら株は幼いながらも今年は花をつけた。
小さいながらも家を守ってくれているようである。
姫沙羅のぽろぽろ咲いてきりがなし
地味な花である。
いっぱい花をつけるのだが何しろ小さくて目立たないが、まるで蜆のようにかわいい。
老鶯の窓を放ちて遠き杜
午後から空気が変わって文字通りの五月晴。
湿度がみるみる下がるので窓を開け放って風を通したら、いつもより遠くで鳴いているようだ。
いよいよ山へ帰る準備をしているのだろうかと聞き耳をたてていたら、さらに声は遠のく。これまで主なテリトリーとしていた八幡さんを捨てて信貴の山深く消えるのだろうか。
ふえすぎて木下余地なく鴨足草
これも梅雨が似合う花だが、ひと月以上たったからすでに終末である。
試しにほんの一株植えたのが、条件がよほど揃ったとみえて植え込みのスペースいっぱいに広がって最早広がる余地がなくなった。
すると来年はどうなるのか、ちょっと気になるところである。
今年は春から何回か天麩羅の具としていただいたのだが、それくらいでは勢いはとめられないくらい元気がいい。
引きはがすやうにつまみて毛虫取
玄関先に仁丹より二回りも大きくて黒いものが点々と落ちている。
さては、虫の糞だとすぐに気づいたがその上の楓を探しても見つからない。とりあえず、掃いてその場は過ごしたが、また数日たった今日も点々と。どうやら同種の虫らしい。今日こそと見上げるように枝を探したら、いたいた。長さ6センチくらいはあろうかという毛虫である。
透かし見ればなかなか毒々しい派手な衣装をまとっている。賢いやつなら保護色の術を使うのだろうが、こいつは逆に毒々しく見せて自分の身を守ろうとしているのにちがいない。
歳時記には「毛虫燒く」という季語があるが、たった一匹である。そんなことせずにそこらの棒でつまんで汚水枡へポイである。
あの虫は蝶になるのか、それとも蛾か。いずれにしてもそれなりの大きさのものに変身するはずのものであったろう。