風のない日

堆肥ごと畑を持ち上げ霜柱

畑の柔らかい畝を霜柱が持ち上げていた。

ここ数日毎日のように厚い霜が降りる。
年末に球根を植えた花壇にも皹がはいるほどびっしり霜が降りていて、土の成分がのぞけている。
木の下など日が当たらない部分は午後になっても解けきらないようで、土が浮いたままだった。
ただ、気温としては久しぶりに十度を越え、風もないので散歩には心地よい日和であった。こんな日は決まって朝の寒さが厳しいのだ。いわゆる放射冷却の底冷えである。
あまりに日和がいいので、凧揚げの子供たちは走れど走れどなかなかうまくいかないので、ちょっと可哀想だったが。

初夢

高枝に鷹をいただき三日かな

ハイタカが高枝にまどろんでいるかのように見える。

この公園で鷹を発見したのは初めてだ。
詳しい人によると、ハイタカのみならずオオタカも観察できるらしい。
三日にしていつもの馬見丘陵公園には人が多く出ている。散歩やら、ジョギングやら、探鳥する人やら。
中央の丘の広場では空を全部埋めるほどの凧をあげている。ほとんどすべてと言っていいくらい市販のカイトばかりで、自前で作ったような凧は一枚もない。
凧の図柄も正月の目出度さとは無縁で、幾何学的な模様とコントラストの強い色だけが目立つばかりである。
今夜は鷹の初夢でも見られればいいがと思う。

めでたい雨

御降の音のしみゐる夜なりし

元日の夜は雨だった。

予報通りだったとは言え、夜の団欒時に突然雨音が聞こえてきていたので思わず耳を澄ませてしまった。
二重窓で外音がかなりシャットダウンされているにもかかわらず、はっきり聞き取れるということはそれなりに強い雨なのである。
元日だから人通りもなく、車の量も少ない。静かな夜である。
しっとりした夜にしみいるような雨なのである。

ご加護ありますよう

絵に描いたやうな日和も今朝の春

いやあ、年があらたまったとたんお天気が上機嫌でしたね。

朝こそ霜がびっしり降りて厳しい寒さでしたが、その後風もなく雲もなく半日すばらしく暖かい日をいただきました。
今年もこのような穏やかな一年でありますよう、大神のご加護をみなさまにも。

同輩

大年のポストへ鈍く落ちにけり

ここ数日インフルかと思える節々の痛みがあって何をするにも億劫だった。

しかし、せっかく用意した年賀葉書をムダにするわけにもいかず、今日午後何とかきっちり50枚書き上げた。というより、刷り上げたと言う方が正しいか。
今年新しい印刷機に替えたのでそれこそあっという間に刷り終えることができたので、これなら集配最終便に間に合うかと郵便局に走ると、何人か先客がいて、局は休みだから、みんな同じように大晦日ぎりぎりの投函の同輩のようである。
そのせいか、ゴムバンドで留めた葉書の束が落ちるとき、いつもよりも鈍いような音がしたのは気のせいだろうか。

今年も今日でおしまい。
毎日お付き合いいただいて本当にありがとうございました。
どうぞよいお年を。

みぃーちゃんハウス

鶲來と筆まゐらせる寓居かな

ようやく今日姿を捉えた。

ジョウビタキである。
ここのところ朝起きると、「ひっひっ」とどこかでは鳴いていたのだが見つけられずにいたのである。
今日のはどうやら雌のようである。
フェンスに掴まって、庭土を見下ろしている。虫でも探しているようだが、やがてジャンプして草の中に隠れた。さいわい、猫のみぃーちゃんは温室で昼寝しているようである。
そう、ビニル温室一棟がみぃーちゃんのハウスであり、そのなかにおいた発泡スチロールで裏打ちされた段ボールが寝床なのである。昼間は日が当たると結構な温度になるらしく、ときどき外へ転がり出ては体を投げ出している。
ともあれ、遭難することなく鶲には毎日來てほしい。

餅をまるめる

餅を搗く小五の女児のたくましき
自治会の年寄衆に餅配る

昨日は団地の餅搗き大会。

シニア部の面々が中心になり前日から用意したものだが、何臼くらいついただろうか。
当日出席できない役員に届ける分もつくので相当な量である。
家族で参加するのもいて、子供たちは興味津々。代わる代わる子供たちにもつかせるのである。小五ともなると女の子の体格も立派なもので、男の子たちよりよほどしっかり杵をふっている。
いくらか、醉いも加わったあたりで、仕上げは夜廻りとなった。
ここでも女の子にハンディスピーカーを持たせて団地を巡る。最初はかけ声と柝の音がなかなか合わなかったが、坂の町を巡るうちに体もほぐれたか、だんだん調子がよくなる。
それにしても「火の用心。燐寸一本火事のもと。」はさすがに時代にマッチしない。防犯も兼ねて「戸締まり用心、火の用心」とあいなった。